高齢がん患者の価値観は多様であり、治療方針決定において重要である。生活の質と延命のどちらを優先するか、現在の健康と未来の健康のどちらを優先するか、という2つのトレードオフ(一方を追求すれば他方を犠牲にしなければならない状態)について、価値観の優先順位付けをするための質問票は、日本人の高齢がん患者の治療方針決定において有用である可能性が示された。高齢がん患者を診療する医療者は、高齢者の標準治療や治療適応の判断、治療リスクの評価など、治療選択に困難を感じている一方で、認知症への対応、身体併存症の管理、社会的支援の評価、家族の介護力など、介護ケアについても困難感を感じていた。
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