研究課題/領域番号 |
19K16955
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中須賀 公亮 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (20812142)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 倫理委員会の承認 / 対象患者エントリー |
研究実績の概要 |
心臓サルコイドーシスは重症化すると予後が非常に悪いにもかかわらず、ある程度疾患が進展しないとその存在に気づかれない。したがって、より確実で侵襲の少ない、早期発見につながるスクリーニング検査法が切望されている。そこで本研究では心臓サルコイドーシスでは心筋に炎症、線維化を生じ、結果として心臓内電気伝導異常をきたすことに着目し非侵襲的な心臓電気生理学検査である加算平均心電図の検査としての有用性を評価することとした。心臓における炎症は過去の報告や、その有用性が未知ながら他の疾患での有用性が評価されているIL-1a、IL-12、IL-18、INFα、INF-α、高感度CRP、PTX-3、尿中8-PHdG、可溶性ST-2により評価する。これらを心臓サルコイドーシスとそうでない「左室機能低下を有する」患者の間で比較し、心臓サルコイドーシス患者に特異的な検査項目を見出すことを目指している。 本年度の研究の実績は、①学内倫理委員会における承認の取得、②対象患者のエントリー開始である。2019年6月19日に倫理委員会の承認を取得。同年7月12日に第一例目の対象患者を研究にエントリーした。以後2020年3月にいたるまで10人の研究対象者のエントリーを行い、心臓サルコイドーシス有無の診断、血液・尿検査、加算平均心電図、ホルター心電図による心拍変動解析もあわせて実施した。研究対象者のエントリー基準は当初から変更し、左室機能低下症例のみに限定し、心臓外サルコイドーシス症例は対象から外す方針とした。その理由の1つは患者背景のばらつきを低減するため、2つ目は臨床現場において左室機能低下症例の原因疾患を調べる上で、心臓サルコイドーシスの診断に有用な検査項目はないかというクリニカルクエスチョンに対する結論をシンプルに解明しやすいと考えたからである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの進捗がやや遅れている主な理由は、対象患者の条件を減らしたことである。 当初対象患者には心臓外サルコイドーシス患者や、心臓サルコイドーシスの可能性がある房室ブロックを合併する患者を含んでいた。しかしながら心臓サルコイドーシスにしばしば合併する房室ブロックを合併した患者はペースメーカを挿入されることが多く、当初設定した除外基準にあてはまることや、心臓サルコイドーシス患者と心臓外サルコイドーシス患者を比較すると、患者背景に大きなばらつきが存在すると考えられるためである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は心臓サルコイドーシスのスクリーニングにおける非侵襲的検査法を評価し臨床応用を目指すことである。【研究実績の概要】で述べたようにエントリーする患者の条件を変更する。 具体的には、「左室機能低下患者で免疫抑制療法を実施されていない患者」と変更し、心臓サルコイドーシスの診断がついた症例とそうでない症例の間で血液・尿検査による炎症マーカーの違いやホルター心電図所見、加算平均心電図所見を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象患者のリクルートが予想より少なかったことが主な理由である。使用計画は変更なく、予定した症例数を目指し対象患者のエントリーを継続する。
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