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2019 年度 実施状況報告書

アスピリンの副作用を回避する新たな取り組み-ゲンチジン酸の比色定量法の開発-

研究課題

研究課題/領域番号 19K16957
研究機関愛媛県立医療技術大学

研究代表者

徳原 康哲  愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (60746329)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードアスピリン / ゲンチジン酸 / 酸化剤 / 結晶次亜塩素酸ソーダ / 分光法 / 質量分析法
研究実績の概要

抗血小板剤や解熱鎮痛剤として広く処方されているアスピリン(アセチルサリチル酸)は,腸管で吸収,肝臓で代謝されたのち,その代謝産物であるゲンチジン酸(GA)やサリチル酸が,血中から尿中に排泄される.アスピリンは,肝臓の代謝能の違いから,同じ服用量でも薬効には個人差があるため,出血や肝機能障害などの副作用を起こす場合もあり,アスピリンの体内動態の観察が重要となる.しかし,アスピリンの代謝産物を正確に測定する臨床検査法は確立されていない.そのため,本研究では,酸化剤を用いたGAの発色法を利用し,アスピリンの代謝産物であるGAの新たな比色定量法による測定の考案を行った.2019年度の研究成果を以下に示す.
①ゲンチジン酸(GA)の発色法を詳細に分析するため,分光法や質量分析法を用いた解析を行った.その結果,酸化剤である結晶次亜塩素酸ソーダおよびアルカリ溶液である水酸化ナトリウム水溶液をGA水溶液に添加すると,GA水溶液は褐色に変化し,500 nm付近にピークをもつ吸収曲線を示すことが明らかとなった.さらに,質量分析法を用いてGAの色調変化を観察したところ,GAの褐色化に伴い123 m/zにピークをもつスペクトルが出現することが明らかとなった.
②結晶次亜塩素酸ソーダを用いた発色法がGAに特異的かどうかを確認した.その結果,アスピリン(アセチルサリチル酸)やサリチル酸では発色することなく,GAのみ発色することが明らかとなった.
③GAの発色が酸化反応によるものかどうかを確認するため,抗酸化剤であるアスコルビン酸がGAの発色法に与える影響を確認した.その結果,アスコルビン酸の濃度が200 mg/L以上となった場合,GAは発色しないことが明らかとなった.
以上、①~③の研究成果は,GAの比色定量法開発に有用なデータであり,測定系の確立に関するデータは順調に取得できている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分光法や質量分析法を用いた解析により,GAの発色反応に関する詳細なデータを取得することができた.さらに,血中・尿中の共存物質であるアスコルビン酸がGAの発色法に与える影響も確認することができた.GAの褐色変化に伴い出現する500 nm付近のピークは,GAの比色定量法開発に有用であるが,汎用自動分析装置を用いて測定条件を設定するためには,分光光度計を用いた更なる検討が必要である.

今後の研究の推進方策

GA濃度測定の自動化に向け,汎用自動分析装置を用いて測定条件の設定を行う.さらに,アスピリン服用患者の血清・尿中のGA濃度を測定し,GA濃度と肝機能検査項目や出血傾向との相関関係を調べる.また,得られた研究成果については,論文や学会報告等により適宜発表する.

次年度使用額が生じた理由

研究成果をまとめた論文を欧文学術誌に投稿していたが,2019年度中に受理されなかったため,論文発表するための経費(論文校正や論文掲載料等)および追加実験用の試薬購入費として確保していた予算が次年度使用額として生じた.よって,2020年度は,当初の研究計画に加えて論文発表するために予算を使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] アスピリンの代謝産物であるゲンチジン酸の発色法の考案2019

    • 著者名/発表者名
      徳原康哲,細川翔,宿谷賢,下澤達雄
    • 学会等名
      第66回日本臨床検査医学会学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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