2020年度には、「ゲンチジン酸(GA)の濃度と発色程度の評価」および「汎用自動分析装置によるGA濃度の自動測定へ向けた測定条件の検討」をおこなった。2020年度の主な研究成果を以下に示す。 ①50~800 mg/LのGA水溶液をそれぞれ調整し、結晶次亜塩素酸ソーダと水酸化ナトリウム水溶液を用いてGA水溶液を褐色に発色させ、分光法により吸光度を測定した。その結果、500 nm付近のピークはGA濃度依存的に変化し、GA濃度が高くなるにつれ吸光度は増加した。 ②結晶次亜塩素酸ソーダと水酸化ナトリウム水溶液を用いて様々な濃度のGA水溶液(1~1000 mg/L)を褐色に発色させた後、分光法により500 nmの吸光度を測定し、GAの検出濃度を解析した。その結果、1~120 mg/Lまでは濃度に比例して吸光度は増加する直線性を示したが、130 mg/L以上になると吸光度の増加は緩やかとなり、さらに、GA濃度が800 mg/L以上になると吸光度は低下した。 以上、①、②の研究成果および2019年度の研究成果を論文として発表した(Hosokawa S,Tokuhara Y et al. PLOS ONE 2020)。 さらに、汎用自動分析装置によるGA濃度の自動測定へ向けた測定条件の検討をおこなったが、反応セル内で少量の試薬を用いたGAの発色反応の条件設定が難航したため、試料中のGA濃度の測定自動化には、今後、添加試薬量・反応時間・温度等の更なる条件検討が必要である。
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