抗血小板剤や解熱鎮痛剤として広く処方されているアスピリン(アセチルサリチル酸)の代謝産物を正確に測定する臨床検査法は確立されていない.そのため,本研究では,アスピリンの代謝産物の一つであるゲンチジン酸(GA)に着目し,酸化剤である次亜塩素酸ナトリウム五水和物結晶(結晶次亜塩素酸ソーダ)を用いたGAの発色法を原理とする新たな比色定量法を考案した.その結果,結晶次亜塩素酸ソーダおよび水酸化ナトリウム水溶液をGA水溶液に添加すると,GA水溶液は褐色に変化し,500 nm付近にピークをもつ吸収曲線を示すことが明らかとなった.さらに,質量分析法や分光法によりGAの発色反応の詳細を解析した.
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