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2019 年度 実施状況報告書

出血傾向と血栓傾向の判別が困難なAPTT延長症例における鑑別法の確立と応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K16962
研究機関東京医科大学

研究代表者

近澤 悠志  東京医科大学, 医学部, 助教 (30599949)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードROTEM / ループスアンチコアグラント / 凝固因子インヒビター / APTT延長
研究実績の概要

本研究はAPTT延長症例を解析対象としているが、2019年7月の病院移転に伴い、APTT試薬の院内採用がシリカ系からエラグ酸系の試薬に変更となった。そのため、試薬変更までに当院で経験したAPTT延長症例は後ろ向きに解析する方針とした。また、試薬変更後の症例を前向きに解析する方針として、院内倫理委員会に倫理申請、受理され研究を進めている。
シリカ系のAPTT試薬を用いてAPTT延長が確認された研究対象症例は、凝固因子インヒビター陽性例が6例、LA陽性例が10例であった。凝固因子インヒビター陽性例のうち2例では顕著な出血傾向のためROTEMによる解析で凝固が見られず、今回の解析から除いた。凝固因子インヒビター陽性例症例における抗第VIII因子抗体の中央値は15.8 BU/ml(IQR 5.4-55.7)であった。APTT、ROTEMのNATEMモードにおけるclottiong time (CT)及びmaximum clot firmness (MCF)の中央値は、凝固因子インヒビター陽性群及びLA群において各々、62.5 (IQR 60.2-66.6)秒 vs 49.4(IQR 46.4-53.5)秒、1718 (IQR 1559.5-1964.3) 秒 vs 707.5 (IQR 503.5-744.0)秒、59.5 (IQR 51.6-63.8) mm vs 57.0 (IQR 53.5-59.5) mmであった。
上記結果からNATEMのCTをみると凝固因子インヒビター陽性群はLA群に比較して明らかな延長傾向を認めた、両群を鑑別できる指標となる可能性が示唆された。本研究結果は2020年7月開催予定の国際血栓止血学会で演題採択され、発表予定である。
また、エラグ酸系のAPTT試薬を用いたAPTT延長症例も現在合計12例となっており、症例蓄積及び解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究期間の途中で院内のAPTT試薬の採用が変更され、研究のデザインを変更する必要があり、倫理委員会の申請に時間を要してしまっていた。
また、APTT延長症例は手術前の術前検査で初めて判明するケースが多いが、全世界的なCOVID-19の流行を受け、病院の手術件数が大幅に縮小されている影響でAPTT延長症例も著しく減少に転じている現状がある。

今後の研究の推進方策

今後はCOVID-19の流行が収束傾向に転じ、病院内の手術件数が増えることが見込まれる。
それに伴ってAPTT延長症例も増加することが見込まれるため、該当症例にこれまで通り積極的に介入していく方針とする。

次年度使用額が生じた理由

本年度は院内採用APTT試薬の変更があり研究デザインの変更があったことなどから、予定よりも研究がスムーズに進められなかった。
そのため、実際に本研究で使用するROTEMのキットや試薬はこれまでの余剰分で対応できた。
次年度はROTEMに加え、トロンビンジェネレーションアッセイや凝固波形解析などの検査も加えていく予定であり、試薬の購入に予算を充てる予定である。
また、個人情報を扱うためのインターネットに接続しない新たなパソコンの購入や、統計解析ソフトなどの購入を予定している。

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公開日: 2021-01-27  

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