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2021 年度 実施状況報告書

出血傾向と血栓傾向の判別が困難なAPTT延長症例における鑑別法の確立と応用

研究課題

研究課題/領域番号 19K16962
研究機関東京医科大学

研究代表者

近澤 悠志  東京医科大学, 医学部, 助教 (30599949)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード後天性血友病 / ループスアンチコアグラント / ROTEM / トロンビン生成試験 / 凝固波形解析
研究実績の概要

APTT試薬としてコアグピアAPTT-Nを用いたAPTTが35秒以上の症例を研究の対象条件とした。(除外基準として、先天性凝固因子欠乏症、抗凝固療法・抗血小板療法のある症例は除外した。)その中で、①クロスミキシングテストで非凝固因子欠乏パターン、②APTTもしくはDRVVTのリン脂質中和法で陽性となる症例、③抗CL抗体、抗CLβ2GP1抗体、抗ホスファチジルセリン依存性抗PT抗体のいずれかが陽性となる症例が62例存在し、そのうち54症例で本研究の同意が得られた。
同意の得られた54症例のうち、後天性血友病(AHA)が10例存在し、それ以外の44例をループスアンチコアグラント(LA)1群と定義した。また、LA1群のうち、APTT試薬としてAPTT SLAを使用したAPTTでループスアンチコアグラントインデックスが12.4以上、APTTもしくはDRVVTのリン脂質中和法で陽性となる症例のいずれかを満たす群が32例存在し、これをLA2群と定義した。
APTT延長症例の中で、AHA群とLA1群、AHA群とLA2群を鑑別するのに有用であったパラメータは、NATEMのclotting time(CT)及びMCF、INTEMのCT、トロンビン生成試験(TGA)のLag time 及びETP、APTT凝固波形解析のCT、Ad|min1|、Ad|min2|というパラメータがいずれも有用であると考えられたが、その中で唯一、後天性血友病群とループスアンチコアグラントの1群もしくは2群の鑑別を例外なく行えた指標はNATEMのCTとTGAのETPのみであった。
手技及び装置の簡便性の観点からNATEMはAHA群とLA群を鑑別するのに非常に有用なツールであると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19の流行に伴い、日常業務の制限を受ける期間が長期に渡ったため、取得データの解析作業及び論文作成に時間を要している。

今後の研究の推進方策

現在取得しているデータをもとに、2022年7月にロンドンで開催される国際血栓止血学会での学会発表を予定するとともに研究データを論文としてまとめる。
また、本研究では、APTT延長症例における後天性血友病とループスアンチコアグラントの鑑別にはROTEMのNATEMモードにおけるCTが非常に簡便で役立つ可能性が示唆された。
一方で、得られた知見の一つに、ROTEMのNATEMモードには採血からの時間が経過するほど、CTが短縮することが挙げられた。時間以外の要因でも、採血管の性状や採血方法、検体の静置の方法などの変動要因が考えられ、過去の文献を見ても施設間格差の大きい検査である。
今後は、ROTEMのNATEMモードにおける変動要因を解析し、施設間格差の是正を図っていくことで、同検査がより臨床で確実に使えるツールなるように研究を進めていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響により、日常業務の制限を受け、取得データの解析及び論文作成に予定外の時間を要したため、研究が次年度に持ち越された。
取得データを解析し、2022年の国際血栓止血学会における学会発表及び、英語論文での論文発表を行っていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Rotational thromboelastometryを用いたループスアンチコアグラントと後天性血友病Aの鑑別法2021

    • 著者名/発表者名
      近澤悠志、天野景裕、備後真登、宮下竜伊、山口知子、篠澤圭子、稲葉浩、萩原剛、木内英
    • 学会等名
      第68回 日本臨床検査医学会学術集会総会

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公開日: 2022-12-28  

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