研究実績の概要 |
同種移植患者の腸管において、ホストの腸管上皮細胞・抗原提示細胞やドナーの白血球が、TLRを介して腸内細菌叢と相互作用し、感染免疫や移植片対宿主病、同種免疫効果に影響を及ぼしていると考え研究に2019年度から着手した。2020年度は移植患者の糞便から腸内細菌叢の多様性を解析し、移植前後で多様性がどの程度変化するかを解析した。しかし移植前後で有意に変化していることはなかった。予想よりも糞便採取に同意を得られた患者数が少なく、解析できた検体が少ないことも影響していると思われ、今後も検体収集を継続し、解析していきたいと考える。また、2020年度はTLR関連分子であるUNC93B1の遺伝子多型が造血細胞移植後転帰に関わることを明らかに論文発表した。(Uchino K, Vu Quang L, Mizuno S, Horio T, Yamamoto H, Hanamura I, Kodera Y, Luis Espinoza J, Onizuka M, Kashiwase K, Morishima Y, Fukuda T, Doki N, Miyamura K, Mori T, Morishita E, Nakao S, Takami A. Donor UNC-93 Homolog B1 genetic polymorphism predicts survival outcomes after unrelated bone marrow transplantation. Genes Immun. 2021.)今後は収集した検体からUNC93B1遺伝子多型を調べ、糞便採取から得られた腸内細菌叢のメタゲノム解析(移植前、移植後)結果との関連や、生着・移植片対宿主病・感染症(種類、治療、転帰を含む)・再発・進行・生存を含む臨床データと関連を比較・検討する予定である。
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