研究課題/領域番号 |
19K16971
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西川 真子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30779369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血小板 / リゾホスファチジルセリン / 血小板受容体 / 検査医学的応用 |
研究実績の概要 |
リゾホスファチジルセリン(LysoPS)は,生体内で生理活性作用をもつ新規リゾリン脂質メディエーターである.本研究では,血小板の活性化に伴いLysoPSが血中に放出されることに着目し,血小板機能に対するLysoPSの役割を明らかにし,LysoPSの新しい疾患バイオマーカーとしての応用を目指すものである. 令和元年度に,健常人ヒト洗浄血小板に各種血小板刺激物質を加え,各種リゾリン脂質を質量分析計(LC-MS/MS)を用いて測定したところ,他の多くのリゾリン脂質とは異なりLysoPSでは,コラーゲン刺激>トロンビン刺激で,血小板からの放出が顕著であることを発見した.本年度は以下の研究を行った. (1)コラーゲン刺激によりLysoPS放出が増加する機序を解析するために,コラーゲン刺激経路に関連する各種刺激物質を準備し,血小板凝集能および血小板の活性化マーカーの評価を行った.複数の測定系で同程度の血小板活性化をきたす刺激量の検討を行った。 (2)糖尿病患者において血小板表面受容体P2Y12等の発現増加による血小板易凝集性が報告されており,個々の血小板ごとの血小板受容体のmRNA発現量の解析を行った.糖尿病患者26名および健常者13名を対象とし,β2-ミクログロブリンを基準としてP2Y12,TXA2受容体,リゾホスファチジン酸受容体,LysoPS受容体のmRNA発現量を比較した. (3)自動血球計を用いて糖尿病患者および健常者の血小板容積指数を比較した.平均血小板容積,大型血小板比率は糖尿病患者で有意に大きかったが,HbA1cとの有意な相関は認めなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度もCOVID-19の流行により,研究の進行に遅延が生じた.質量分析に用いる内部標準物質の入荷に大幅な遅延が生じ,質量分析解析が進まなかった.
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今後の研究の推進方策 |
質量分析に使用する内部標準物質がそろったため、質量分析解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
質量分析に用いる内部標準物質の輸入,納品に大幅な遅延が生じ,研究費を使用できなかった.納品されたため、解析を行い、論文執筆を行う。
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