研究課題
機械学習によるモデル構築のため、所属施設の患者データを用いて解析法の確認と妥当性の確認を行った。機械学習プログラムADTreeにより血液腫瘍患者の移植経過を検証、予後不良群では疾患と移植ソースによって予後予測が異なることが示された。この結果は既報と同様であり、機械学習の有用性と既報との整合性が確認できた。昨年度行った解析因子の抽出は、①化学療法の支持療法に関するイベント発症率の比較、②染色体の新しい予後リスク分類の検証、③特に高齢者に対する化学療法別の予後・医療費比較を進めている。高齢者では個々の基本的予備能の差が大きく、治療方針決定のアルゴリズム構築は重要と考える。大規模データとしては日本造血細胞移植データセンターの移植登録一元管理プログラム(TRUMP2)に登録された国内の造血幹細胞移植、約2万人に関する解析に着手したところである。倫理面の問題から手続きが難航しているため、データベース構築が予定よりも遅れている。血液腫瘍の特徴として、遺伝子変異と治療反応性・予後は強い関連を示すため、追加で遺伝子変異検索を新たに行うか、現在、実現可能か検討中。
3: やや遅れている
昨年度は人工知能・機械学習によるモデル構築にあたり、まず、解析法の確認と個別の因子を抽出した。手法に関し、機械学習プログラムADTreeにより血液腫瘍患者の移植経過を検証、予後不良群では疾患と移植ソースによって予後予測が異なることが示された。この結果は既報と同様であり、機械学習の有用性と既報との整合性が確認できた。この結果は英文誌に公表済である。現在進行している因子検索は、①化学療法の支持療法に関するイベント発症率、②染色体の新しい予後リスク分類、③特に高齢者に対する化学療法別の予後・医療費比較、である。①では、治療中の重篤な感染症の発生と支持療法の内容を比較し、結果は国際学会で公表済、論文は投稿中。②として、関連施設での解析結果を行い、これまで規定されていなかったmarker染色体の意義を検証、国際学会で発表した。英文誌に投稿、現在revised中。この結果に基づき、日本造血細胞移植データセンターの移植登録一元管理プログラム(TRUMP2)に登録された国内の造血幹細胞移植症例2万人余りのデータを取得した。予後予測モデル構築のため、因子の再検証、エビデンスを確立を進めている。③として、標準的な化学療法による有害事象が起こりやすく、また、治療による治癒や延命が困難な高齢者に関し、治療内容別の生存期間、コストの比較を行っている。解析途中であり、結果は未公表。手法の検証、因子抽出は段階的に進んでいるが、関連施設の患者のカルテ情報のすべてを用いる、いわゆるビックデータの取得は倫理面の問題から手続きが難航して、データベース構築が予定よりも遅れている。
昨年度開始した解析を引き続き進める。所定の手続きを進めカルテ情報の取得とデータベース構築を完了する。血液腫瘍の特徴として、遺伝子変異と治療反応性・予後は強い関連を示すため、追加で遺伝子変異検索を新たに行うか、現在、実現可能か検討中。
データベース構築が遅れているため、購入していない物品がある。年度末に参加予定であった学会が中止となったため、使用しなかった旅費が生じた。論文はリバイスの投稿は済だが、アクセプト待ちであり、予定の掲載料の使用が次年度にずれ込む予定のため。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件)
Cancer Med.
巻: 8(11) ページ: 5058-5067
10.1002/cam4.2401. Epub 2019 Jul 15.
Blood Adv.
巻: 3(22) ページ: 3626-3634
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