研究課題
機械学習による解析法の確認と妥当性、既報との整合性に関しては初年度に検証済である(機械学習プログラムADTree、血液腫瘍患者の移植の予後予測)。2020年度は、初年度に引き継き、機械学習によるモデル構築のための基礎となる個別因子を抽出した。①血液腫瘍治療中には多彩で重篤な合併症が起こり、時に致死的である。原病の治療のみならず合併症予防、治療関連死の軽減は重要である。今回、支持療法の一つである口腔ケアの有無で治療後の血流感染発生率が半減することを示した(口腔ケアあり 14% vs. 口腔ケアなし 28%、p=0.01)。結果は既に海外学会で公表済、論文は英文誌に投稿し、現在revised中。合併症の低減による医療費や入院期間への寄与解析を引き続いて行う。②血液腫瘍の予後リスク分類のため、これまで規定がなかったmarker染色体の意義を検証、2019年度に海外学会で発表、2020年度に英文誌で公表した。多数例での検証として、日本造血細胞移植データセンターの移植登録一元管理プログラム(TRUMP2)に登録された造血幹細胞移植患者約2万人のビックデーで用い再解析を行い、同様の結果を得た。国内外の学会で発表済、現在英文誌に投稿中、国際的なエビデンス確立を目指している。③高齢者に対する化学療法別の予後・医療費比較を解析中。高齢者では個々の基本的予備能の差が大きく、治療方針決定のアルゴリズム構築は重要と考える。④治療方針算定や予後予測のため、急性骨髄性白血病のWT-1 発現量に関し、多施設共同研究を計画、各施設での倫理審査は終了した。⑤電子カルテのデータベース化を進めているが、電子化されていないものが多く、電子化に時間を要している。
2: おおむね順調に進展している
機械学習による手法の妥当性に関しては、造血器腫瘍の移植患者において、疾患、病期、移植ソースをもとにモデルを構築し、既報との整合性は検証済である(Cancer Med. 2019 Sep;8(11):5058-5067.)。機械学習のモデル構築のために、個別の予後因子抽出が進行している。①化学療法の支持療法に関するイベント発症率の比較を行った。血液腫瘍治療中には多彩で重篤な合併症が起こり、原病の治療のみならず合併症予防、治療関連死の軽減は重要である。造血幹細胞移植患者において、口腔ケアの有無で治療後の血流感染発生率が半減することを示した(口腔ケアあり 14% vs. 口腔ケアなし 28%、p=0.01)。②急性骨髄性白血病の新しい予後リスク因子として、Maker染色体の意義を国内のビックデータを用いて検証した。③特に高齢者では個々の基本的予備能の差が大きく、治療方針決定のアルゴリズム構築は重要と考える。高齢者に対する化学療法別の予後・医療費比較を進めている。④急性骨髄性白血病において、診断時のWT-1 発現量と治療経過予後に関する解析を多施設共同で開始した。どの時点で治療介入や変更を行うべきか、治療モデル構築を試みる。⑤非電子媒体のデータを電子化している途中であり、データベース構築が予定よりも遅れている。
血液腫瘍の特徴として、遺伝子変異と治療反応性・予後は強い関連を示すため、今回承認された多施設共同研究を開始、解析進める。これまでに新たに抽出した因子を中心にデータベースと予後予測モデル構築を進める。
データベース用のIT関連の契約のための経費として使用する。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
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