研究課題/領域番号 |
19K16975
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
布施 香子 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (40783329)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 機械学習 / 急性骨髄性白血病 / 医療費 |
研究実績の概要 |
機械学習による手法の妥当性は初年度2019年に確認した(Cancer Med. 2019 Sep;8(11):5058-5067.、Blood Adv. 2019 Nov 26;3(22):3626-3634.)。以後、継続的に機械学習のモデル構築に用いる個別の予後因子抽出を進めているが、これまでに、①共同研究グループや(第24回欧州血液学会総会2019年 オランダ、Eur J Haematol. 2020 Nov;105(5):616-625.)国内の造血細胞移植のレジストリーデータベースを用いて(第61回米国血液学会2020年)予後の新規マーカーとなる染色体異常を同定、②急性骨髄性白血病の診断時の遺伝子発現量と治療選択の関連を解析、予後に関わる遺伝子発現量の閾値設定を行った(第83回日本血液学会学術集会2021年、第62回米国血液学会2021年)。血液腫瘍治療中には多彩な合併症を発症、時に致死的なことがあり、予後に大きな影響を与える。治療のみならず合併症予防、治療関連死の軽減は重要である。そのための③支持療法の因子として、治療終了後の感染を半減させる具体的な因子となる集中的口腔ケアを抽出した(Support Care Cancer. 2022 Jan;30(1):475-485.)。支持療法による入院期間や医療費軽減効果に関しては解析継続中。また、④腫瘍免疫として特定の免疫細胞の有無やHLA(Human Leukocyte Antigen;ヒト白血球抗原)のパターンと治療経過に関連を見出したことから、今年度に新たに解析因子として解析を追加した。⑤医療経済面の観点で、特に予備能の低い高齢者の治療選択と予後、医療費への影響の比較を行う。今年度は延長した最終年度であり、これまでの解析で抽出した個別の因子を統合し、治療選択の最終モデル構築を完成させる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度2019年、次年度2020年は機械学習プログラムADTreeによる血液腫瘍患者の移植の予後予測を行い、解析法の確認と妥当性、既報との整合性に関する検証を行った(Cancer Med. 2019 Sep;8(11):5058-5067.、Blood Adv. 2019 Nov 26;3(22):3626-3634.)。 他、機械学習によるモデル構築に必要な個別因子の抽出を継続的に行った。 これまでに、①染色体異常:共同研究グループ(第24回欧州血液学会総会2019年 オランダ、Eur J Haematol. 2020 Nov;105(5):616-625.)や日本の造血幹細胞移植のレジストリーデータから得た約2万人の急性骨髄性白血病の移植患者を解析し(第61回米国血液学会2020年)、予後に関わる新規マーカーとなる染色体異常を同定した。また、②治療選択と遺伝子発現量: 2020年~2021年に多施設共同研究として急性骨髄性白血病の診断時の遺伝子発現量と治療選択を解析し、予後を規定する遺伝子発現量の閾値を設定した(第83回日本血液学会学術集会2021年、第62回米国血液学会2021年)。③支持療法の因子:血液腫瘍治療中には多彩な合併症を発症、時に致死的なことがあり、予後に大きな影響を与える。治療のみならず合併症予防、治療関連死の軽減は重要である。2021年度には支持療法の口腔ケアが治療終了後でも感染を半減させる因子であることを示した(Support Care Cancer. 2022 Jan;30(1):475-485.)。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、合併症の低減による医療費や入院期間への影響を検証する。 その他、新たに加えた解析因子として、④腫瘍免疫:特定の免疫細胞やHLAのパターンと血液腫瘍発症時、治療経過に関連を見出したことから(Int J Hematol. 2021 May;113(5):723-734、第83回日本血液学会学術集会2021年、第63回米国血液学会総会 2021年)追加因子として解析中。⑤医療経済面:高齢者では個々の基本的予備能の差が大きく、治療方針決定の個別化が望ましく、予備能、治療選択、予後と医療費比較を行う。 今年度は延長した最終年度であり、これまでの解析で抽出した個別の因子を統合し、治療選択の最終モデル構築を完成させる予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に生じた解析用のデータベースの構築遅延のため、主にクラウド型の統計ソフトの利用料の予算を使用しなかった。 この利用料を繰り越したため次年度使用額が生じた。今年度の解析に使用する。
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