| 研究課題/領域番号 |
19K16978
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
山崎 大 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (90836032)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 脂肪膵 / 異所性脂肪 / 膵臓 / 糖尿病 / 膵臓癌 |
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| 研究実績の概要 |
本年度、共同研究機関である健診施設にて、脂肪膵(CTで測定した膵脂肪量)と糖尿病発症についての検討を肥満者(BMI 25kg/m2以上)と非肥満者(BMI 25kg/m2未満)に分けて行い、その結果を英文誌(Yamazaki et al. J Gastroenterol 2020)に報告した。
本研究では、2008年から2013年にCT検診を施行した糖尿病を有さない2213人(肥満者735人、非肥満者1478人)を対象とし、膵臓のCT値(Hounsfield units [HU])を用いて膵脂肪量を評価した。糖尿病発症は、空腹時血糖≧126mg/dL・HbA1c≧6.5%・糖尿病薬開始のいずれかを満たした者とした。年齢・性別・BMI・脂肪肝・飲酒をロジスティック回帰モデルで調整し、脂肪膵(膵CT値)と糖尿病発症の関連を評価した。
約6年間の経過観察中に、152人(肥満者91人、非肥満者61人)が糖尿病を発症した。肥満者では脂肪膵と糖尿病発症の関連が示されなかったが(膵CT値10HU低下毎の多変量調整オッズ比0.97、95%信頼区間0.80-1.17、P値0.72)、非肥満者において脂肪膵は糖尿病発症と関連していた(膵CT値10HU低下毎の多変量調整オッズ比1.32、95%信頼区間1.06-1.63、P値0.012)。
本研究では遺伝的リスクが関わると推察される非肥満者の糖尿病でのみ、脂肪膵との関連がみられることを縦断的に示した。本知見は非肥満者の糖尿病予防において、脂肪膵に着目する重要性を初めて示唆したものである。
また付随研究として、上記のデータセットで脂肪膵と高血圧発症の関連を検討し、両者に関連は示されなかったことを第30回日本疫学会学術総会で報告した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度、本研究の主目的である「脂肪膵と糖尿病発症の検討」を論文化できたことは大きな進歩であったと考える。また付随研究の「脂肪膵と高血圧発症の検討」についても解析を行い、学会発表を行うことができた。
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| 今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で、肥満者と非肥満者で脂肪膵の糖尿病発症に対する影響が異なることが示唆された。肥満者と非肥満者では、皮下脂肪や内臓脂肪のみならず、骨格筋量も異なることが推察される。次年度は、皮下脂肪と内臓脂肪、そして骨格筋量についてもデータを取得し、脂肪膵と骨格筋量の糖尿病発症に与える影響を検証する。
脂肪膵と膵臓癌発症の検討においては、共同研究施設の病院に膵臓癌診断時のCTのみならず、診断前のCTも一定数存在することがわかったため、脂肪膵と膵臓癌発症を縦断的に解析する方針とし、そのためのデータ取得を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
今年度は既存データを用いた解析と論文化に多くの時間を要したため、CT画像データの新たな解析を行わなかった。次年度にCT画像データの新たな解析を行うため、解析するためのコンピューターとソフトウェアの購入、データの整備・解析に伴う人件費と成果発表のための旅費として使用する予定である。
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