研究目的は、脂肪膵が糖尿病や膵臓癌の危険因子であるかを明らかにすることである。CT検診受診者(肥満者735人、非肥満者1478人)を対象に、脂肪膵と将来の糖尿病発症を検討するコホート研究を行い、非肥満者でのみ脂肪膵が糖尿病の危険因子となることを示した。脂肪膵と膵臓癌発症については、膵臓癌の診断を受ける以前に何らかの理由でCTを施行していた膵臓癌患者38人と、年齢と性別をマッチングさせた非膵臓癌患者152人を対象としたケースコントロール研究を行ったところ、脂肪膵と膵臓癌との間に明らかな関連はみられなかった。本研究の知見を含め、脂肪膵の臨床的意義に関する総説をドイツの研究グループと共同で報告した。
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