研究課題/領域番号 |
19K16983
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
福田 顕弘 大分大学, 医学部, 助教 (30628889)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 尿中ポドサイトmRNA / 肥満関連腎症 / 糸球体肥大 / 微量アルブミン尿 |
研究実績の概要 |
肥満症や糖尿病など生活習慣病に関連した腎症の早期発見は喫緊の課題である。日常診療で使用される微量アルブミン尿は必ずしも有用ではなく、新たなバイオマーカーが求められている。糸球体疾患では尿中に糸球体上皮細胞(ポドサイト)が多く検出され、我々は尿沈渣中ポドサイト特異的mRNA(ポドシンmRNA)が糸球体疾患のバイオマーカーとして有用であることを示してきた。本研究では、尿沈査中ポドシンmRNA排泄量などの尿中ポドサイトマーカーが、微量アルブミン尿より精度の高い肥満関連腎症のバイオマーカーとして有用であることを明らかにし臨床応用を目指すことである。 我々は、肥満糖尿病性腎症モデルラットでは糸球体肥大およびポドサイト障害がアルブミン尿、高血糖出現前より存在し、同時期にすでに尿沈査中ポドシンmRNA排泄量が増加し始めることを見出し、それらはGrowth factor(尿中IGF-1, IGF-2)の上昇を介したmTOR pathwayの活性化が関与することを報告した(Sci Rep 2019)。臨床症例でも正常アルブミン尿群において対象コントロール群と比較して有意な尿沈査中ポドシンmRNA排泄量の増加を認め、糖尿病性腎症の早期診断マーカーとして有用である可能性が示唆された。また、4年後のfollow upの解析を行い、baseの尿沈査中ポドシンmRNA排泄量が糖尿病性腎症進展のリスク因子となることを明らかとした。同内容については現在論文投稿中である。
当初は肥満関連腎症動物ラットモデルでの実験を先に行い、後に臨床症例での検証を計画していたが、当大学の動物センター改築に伴い動物飼育数の制限がなされているためまずは臨床症例での検討より開始することとした。現時点では約30症例の尿サンプル収集を終了しており、今後Controlも含めて解析を開始する。その後、動物実験も従事開始していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、肥満関連腎症動物ラットモデルでの実験を先に行い、後に臨床症例での検証を計画していた。しかしながら当大学の動物センター改築に伴い動物飼育数の制限がなされており、計画的に動物実験を行うことができなかった。そこで、まずは臨床症例での検討を開始することとした。 現時点では約30症例の尿サンプル収集を終了しており、今後Controlも含めて解析を開始する。その後、動物実験も順次開始していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、肥満糖尿病性腎症モデルラットでは糸球体肥大およびポドサイト障害がアルブミン尿、高血糖出現前より存在し、同時期にすでに尿沈査中ポドシンmRNA排泄量が増加し始めることを見出した。また、それらはGrowth factor(尿中IGF-1, IGF-2)の上昇を介したmTOR pathwayの活性化が関与することを報告した(Sci Rep 2019)。臨床症例でも正常アルブミン尿群において対象コントロール群と比較して有意な尿沈査中ポドシンmRNA排泄量の増加を認め、糖尿病性腎症の早期診断マーカーとして有用である可能性が示唆された。また、4年後のfollow upの解析を行い、baseの尿沈査中ポドシンmRNA排泄量が糖尿病性腎症進展のリスク因子となることを明らかとした。同内容については現在論文投稿中である。
本研究は肥満のみがポドサイト障害を引き起こし、尿沈査中ポドシンmRNA排泄量が微量アルブミン尿より精度の高いバイオマーカーになりうるかどうかを検証する研究である。 現時点では約30症例の高度肥満症(BMI>35)を呈する尿サンプル収集を終了しており、症例数をもう少し増やし、令和2年度中にControlも含めて解析を行う。並行して動物実験も開始し、令和3年度内での研究修了を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は肥満関連腎症動物ラットモデルでの実験を先に行い、後に臨床症例での検証を計画していたが、当大学の動物センター改築に伴い動物飼育数の制限がなされているため、まずは臨床症例での検討より開始した。 そのため、当初予定していた動物実験開始が遅れており、動物飼育費や動物実験に関する物品使用が少なくなったため次年度以降に行う予定としている。
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