研究実績の概要 |
片頭痛は若年者に好発する慢性頭痛疾患であり、有病率(約10%)、生活支障度ともに高い。片頭痛患者の一部ではストレス、生活習慣、天候の変化など何らかの頭痛発作の誘発因子を有している。本研究では片頭痛の誘発因子の実態について調査を行い、その一部については片頭痛の動物モデルとして広く認知されている皮質拡延性脱分極/抑制(Cortical Spreading Depolarization/Depression, CSD)(Harriott AM, Takizawa T, Chung DY, Chen SP. J Headache Pain 2019; 20: 45)を用いて科学的な検証を試みる。片頭痛のトリガーについて総合的な解明を行い、最終的には患者QOLの向上を目指す。 まずは、慶應義塾大学医学部神経内科頭痛外来に通院中の患者の実態調査のためにデータベースの立ち上げ、構築に取り組み、約300名の一次性頭痛患者について登録を行った。一般人口では緊張型頭痛が多いとされるが、頭痛外来に定期的に受診している患者の約8割が片頭痛であり、そのうちの約1/3に閃輝暗点などの前兆を伴っていた(滝沢,中原,柴田.第47回日本頭痛学会総会にて口演発表)。片頭痛患者の約95%において、ストレス、天候の変化、月経、睡眠、食物など頭痛に対する何かしらかのトリガーの自覚があることも明らかとなった。 片頭痛の動物モデル(CSDの測定系)のセットアップについても行い、今後の負荷実験に備えることができた。
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