研究実績の概要 |
研究期間延長に伴い中間解析となったため当院での集計結果の一部に関して下記に概要を報告する。 2019年4月1日から2020年3月31日にかけて当院へ救急搬送された16歳以上の血液培養検査を施行した患者を対象として、患者本人または代諾者による問診票記載項目として、来院前における「食事摂取量(80%未満,80%以上)」および「寒気の程度(悪寒戦慄あり、なし)」と菌血症の有無との関連性について検討した。177名の患者のうち菌血症群(以下B群):37名、非菌血症群(以下N-B群):140名であった。単変量解析(B群vsN-B群)[平均値±標準偏差もしくは中央値(四分位範囲)]ではB群において有意に心拍数(bpm)上昇[107.4±21.6 vs 96.8±18.7, p=0.003]、拡張期血圧(mmHg)低下[70.9±14.3 vs 78.0±17.3, p=0.02]、体温(℃)上昇[38.3±1.5mmHg vs 37.7±1.2, p=0.009]、およびC反応性蛋白 (mg/dL)上昇[5.78(2.92, 14.77)vs 4.32(1.01, 9.83), p=0.007]を認めた。また食事摂取量が80%未満であることは感度86.5%で菌血症を予測し、陰性的中率は85.7%であった。一方、悪寒戦慄があることは特異度88.6%で菌血症を予測し、陰性的中率は82.1%であった。なお、食事摂取量が80%以上あり、かつ悪寒戦慄を認めない菌血症患者はB群37名のうち5名認めたが、全例とも夜間の突然発症であり、いずれも最終食事は前日の夕食であり摂取から8時間以上経過していた。 現在、2020年4月1日から2021年3月31日からの症例約300例を追加し最終解析を行っている。
|