研究実績の概要 |
以下、第2次中間解析結果である。 2019年4月1日から2021年3月31日にかけて当院へ救急搬送、および直接救急外来もしくは総合診療科外来を受診し、血液培養検査を施行した16歳以上の患者583人を対象に、患者本人または代諾者による問診票記載項目として、来院前直近における「食事摂取量(80%未満,80%以上)」および「寒気の程度(悪寒戦慄あり、なし)」と菌血症の有無との関連性について検討した。 このうち263名の救急搬送患者を抽出したところ、菌血症群(以下B群):70名、非菌血症群(以下N-B群):193名であった。単変量解析(B群vsN-B群)[平均値±標準偏差もしくは中央値(四分位範囲)]ではB群において有意に心拍数(bpm)上昇[103.2±22.1 vs 97.3±20.2, p=0.041]、拡張期血圧(mmHg)低下[70.7±15.5 vs 79.1±16.4, p<0.05]、体温(℃)上昇[38.2±1.4mmHg vs 37.6±1.1, p<0.05]を認めた。 また食事摂取量が80%未満であることは感度84.8%,特異度19.2%で菌血症を予測し、陰性的中率は78.2%であった。一方、悪寒戦慄があることは感度22.7%,特異度89.8%で菌血症を予測し、陰性的中率は75.5%であった。なお、食事摂取量が80%以上あり、かつ悪寒戦慄を認めない菌血症患者はB群70名のうち6名認めたが、全例とも夜間の突然発症であり、いずれも最終食事は前日の夕食であり摂取から8時間以上経過していた。 なお残り80症例程度に関して最終的なデータの確認を行っているが、2020年度救急医学会総会においては、177名(B群:37名)の対象においてSIRSを満たした場合には感度83.8%, 特異度36.4%で菌血症を予測し、陰性的中率89.5%であったことから、最終検討においても同項目に対する解析を行う。
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