研究課題/領域番号 |
19K16991
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
友岡 清秀 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90804708)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 降圧効果 / 鍼治療 / ツボ刺激 / ランダム化比較試験 |
研究実績の概要 |
本研究は地域住民を対象に、2×2 factorial designランダム化比較試験を実施し、鍼治療とツボ押しならびにそれらの組み合わせによるツボ刺激の降圧効果の違いについて明らかにすることを目的としている。 2020年度は、2×2 factorial designランダム化比較試験の実施可能性を検証するためのパイロットスタディを行った。パイロットスタディでは、対象者数を20名で設定し、鍼治療とツボ押しの組み合わせ群のみの単一群で行い、介入期間は本研究の半分である1ヶ月間として実施した。本研究は順天堂大学医学部附属病院倫理委員会の承認を得て実施した。 パイロットスタディの結果、10名(男性5名、女性5名、平均年齢55.9±7.8歳)の対象者を募集することができた。この内、高血圧治療者は7名、未治療者は3名であった。東洋医学的な診断に基づき、週1回1か月間の鍼治療と自宅での毎日のツボ押しを実施した結果、安静時血圧の平均値は、介入前の収縮期139.5/拡張期92.4 mmHgから介入後には132 /88.7 mmHgと低下する傾向が認められたが有意差は認めらなかった(P=0.45)。同様に、家庭血圧についても、3日間の起床時の血圧の平均値は介入前の136.0/94.8 mmHgから介入後には128.5/90.7 mmHgに、3日間の就寝前の血圧の平均値は介入前の137.5/91.0から介入後には130.6/87.3 mmHgに低下する傾向が認めらたが、いずれも有意差は認められなかった。 本パイロットスタディは対象者数も少なく、また介入期間も短かったことから、鍼治療とツボ押しの組み合わせによる有意な降圧効果は認められなかった可能性が考えられた。今後はサンプルサイズを増やし、介入期間を延長することにより鍼治療とツボ押しの組み合わせによるツボ刺激の降圧効果について明らかにすることができるのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は2020年度にランダム化比較試験を実施する予定であったが、パイロットスタディの実施までしか完了できなかった。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、倫理委員会や共同研究施設との調整等にも影響があったため、パイロットスタディの実施自体もやや遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度のパイロットスタディの結果、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言は特に参加者のリクルートに大きな影響を及ぼし、困難を極めた。また、今後、規模を拡大してランダム化比較試験を実施する際には、多施設で行う予定であるが、緊急事態宣言の影響により共同研究施設の利用等にも影響を及ぼすことが想定されるため、今年度のランダム化比較試験の実施についてはコロナ禍でも実施可能な研究デザインへの変更も視野に入れて検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:ランダム化比較試験を実施する前にパイロットスタディを実施したこと、また新型コロナウイルス感染症の影響により研究進捗がやや遅れているため。 使用計画:2021年度にランダム化比較試験を実施する。
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