研究課題
FESTA研究は2021年度は6年目に入り、参加者は累計で950名以上を数えた。また400名以上が2回目のフォローアップ調査を終えている。2021年度は引き続き腎機能マーカーであるクレアチニンとシスタチンCの相違とサルコペニアとの関連に注目し、クレアチニンによる推算糸球体ろ過量(eGFRcre)とシスタチンCによる推算糸球体ろ過量(eGFRcys)との比eGFRcys/eGFRcreが筋肉量と関連することを見出し発表した。(Clin Exp Nephrol. 2021 Mar;25(3):231-239.)また、前回の論文でクレアチニンとシスタチンCとの比(Cre/CysC)が筋肉量や筋力と相関することを報告した。(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle‐ClinicalReports. 2018 3(1) 1-14) 重回帰分析からCre/CysC、年齢、ヘモグロビン値、血清アルブミン値などから筋肉量を推定する回帰式を作成し、サルコペニア診断に有用であることを確認し、報告した。(J Am Med Dir Assoc. 2022 May;23(5):902.e21-902.e31.)また、近年口腔のオーラルフレイルと全身のフレイル・サルコペニアとの関連が注目されているが、舌圧値がeGFRcys、eGFRcys/eGFRcreと有意に関連し、口腔機能低下症においても全身のサルコペニア指標と同様の傾向が認められることを確認した。(論文投稿中)また、eGFRcysがサルコペニア発症の有意なリスク因子であるかどうかも検討し、論文準備中である。2022年3月現在、投稿中の論文が1編、準備中の論文が1編である。今後は2回目の調査の結果を踏まえて、筋力低下、筋量低下の予測因子として、シスタチンCが有用であるかを確認していきたい。
2: おおむね順調に進展している
2022年3月末日現在、投稿中の論文が1編、準備中の論文が1編である。今後は2回目の調査の結果を踏まえて、筋力低下、筋量低下の予測因子として、シスタチンCが有用であるかを検討していきたい。また、研究対象を口腔に広げ、オーラルフレイル、口腔機能低下症についても腎機能マーカーであるシスタチンCが関連があるかを検討していきたい。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により兵庫県にも緊急事態宣言が出たことから、2020年度の調査は行えず、電話によるフォローとなった。2021年度秋季から感染対策に留意しつつ会場調査を再開した。初回調査から5年が経過した参加者が大半となったため、フレイル・サルコペニアの新規発症と腎機能マーカーであるシスタチンCが関連があるかを検討していきたい。
人件費、謝金、物品費の申請が間に合わなかったため次年度使用が生じた。次年度は人件費・謝金に加えて、研究に必要な物品の購入費に使用を予定している。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件)
J Am Med Dir Assoc.
巻: 23 ページ: e21-902.e31
10.1016/j.jamda.2021.07.029. Epub 2021 Aug 23.
Clin Exp Nephrol
巻: 25 ページ: 231, 239
10.1007/s10157-020-01981-x. Epub 2020 Oct 22.
兵庫医科大学医学会雑誌
巻: 46 ページ: 65, 69
別冊Bio Clinica
巻: 10 ページ: 73, 77