研究課題/領域番号 |
19K16995
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
楠 博 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (60780070)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サルコぺニア / 慢性腎臓病 / 舌圧 / フレイル / オーラルフレイル |
研究実績の概要 |
FESTA研究は2022年度は7年目に入り、参加者は累計で950名以上を数えた。また400名以上が2回目のフォローアップ調査を終えている。クレアチニンとシスタチンCの相違とサルコペニアとの関連に注目し、クレアチニンによる推算糸球体ろ過量(eGFRcre)とシスタチンCによる推算糸球体ろ過量(eGFRcys)とのeGFRcys/eGFRcreが筋肉量と関連することを見出し発表した。(Clin Exp Nephrol. 2021 Mar;25(3):231-239.)また、クレアチニンとシスタチンCとの比(Cre/CysC)が筋肉量や筋力と相関することを報告した。(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle‐ClinicalReports.2018 3(1) 1-14) 重回帰分析からCre/CysC、年齢、ヘモグロビン値、血清アルブミン値などから筋肉量を推定する回帰式を作成し、サルコペニア診断に有用であることを確認し、報告した。(J Am Med Dir Assoc. 2022 May;23(5):902.e21-902.e31.) また、近年口腔のオーラルフレイルと全身のフレイル・サルコペニアとの関連が注目されている。2022年度は舌圧値がeGFRcys、eGFRcys/eGFRcreと有意に関連し、口腔機能低下症においても全身のサルコペニア指標と同様の傾向が認められることを確認し報告した。(Clin Exp Dent Res. 2022 Oct;8(5):1259-1269.) さらに、一般内科外来患者において、Cre/CysC、eGFRcys/eGFRcreなどのシスタチンC関連指標が質問紙(Oral Frailty Index-8: OFI-8)で評価したオーラルフレイル高リスクと関連していることを報告した。(PLoS One. 2023 Apr 24;18(4):e0283803.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度から2022年度までの研究期間中に、11編の英文論文(うち筆頭著者論文を4編)をpublishすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により兵庫県にも緊急事態宣言が出たことから、2020年度の調査は行えず、電話によるフォローとなった。2021年度秋季から感染対策に留意しつつ会場調査を再開した。本格的に疫学調査を再開した2022年度は初回調査から5年以上が経過した参加者が大半となった。また、一般内科外来においても、質問紙(Oral Frailty Index-8: OFI-8)を用いて、口腔機能の評価をおこなった。 今後もフレイル・サルコペニアの新規発症と腎機能マーカーであるシスタチンCが関連があるかを検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費、謝金、物品費の申請が間に合わなかったため次年度使用が生じた。次年度は人件費・謝金に加えて、論文の掲載料、校正料を支払う予定である。
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