研究実績の概要 |
リソソームおよびその成熟を支える細胞内輸送機構はαシヌクレイン凝集・伝播といったパーキンソン病脳内病理形成に深く寄与していると推測されるが、その詳細な制御機構については未解明の部分が多い。一方でリソソーム成熟は、エンドソームからトランスゴルジ網あるいは細胞表面への積荷分子輸送を担うレトロマー複合体とよばれる細胞内輸送機構に依存していることが知られている。これらの事実をもとにパーキンソン病の病態にリソソーム障害が関与するか否かを調べる目的にパーキンソン病関連変異遺伝子の中で、これらの分子輸送を担うと考えられている遺伝子を導入し免疫染色によりエンドソーム関連タンパクを染色し、細胞を観察した。その結果Park21の原因遺伝子であるN855S変異型DNAJC13ではエンドソームにクラスリンの蓄積がおこりエンドソームの成熟が障害されている様子が観察された。また、DNAJC13とクラスリンとの結合について免疫沈降で確認し、結合部位がパーキンソン病関連変異の存在するIWN1ドメインにあることを突き止めた。線虫を用いたDNAJC13の機能障害変異による実験でも同様のクラスリン蓄積が報告されており、パーキンソン病関連DNAJC13変異体も類似の機能障害があることが推定される(Shi A, EMBO J. 2009)。また、DNAJC13による輸送機能を担っているとされているC末端を欠損させた変異体を用いて行った実験でも同様の結果を得ることができた。
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