昨年度まではPARK21の原因遺伝子であるN855SDNAJJC13におけるマンノース6リン酸受容体のレトロマーによる輸送障害を明らかにし、そのほかのレトロマー関連タンパクとの結合について調べた。更にDNAJC13のレトロマー輸送にはクラスリンが関与していることも明らかなにし、変異型DNAJC13過剰発現細胞ではエンドソームの成熟障害についての結果も得た。さらにHsc70阻害剤であるVER155008がレトロマー障害を引き起こすことも明らかにした。 今年度はVER155008暴露によりDNAJC13とSNX1との結合が強まることを明らかにし、さらにロテノン暴露細胞にいてもHsc70阻害時と同様にDNAJC13とSNX1の結合が強まった。ロテノンはミトコンドリア機能を阻害し細胞内のATP を低下させることが知られており、DNAJC13のSNX1へのシャペロン機能を阻害した結果と考えられた。また、ロテノン暴露細胞においてはM6PR とTGN46の共局在の低下を認め、DNAJC13とSNX1との結合の変化がレトロマー障害を引き起こすことが示唆された。このことはPD 病態におけるレトロマー機能の重要性を示している。 また、αシヌクレイン過剰発現細胞においてもM6PR とTGN46 の共局在の低下を認めた。また、細胞へのR33添加により凝集αSYN の低下を認めた。このことはレトロマーを標的とした新たな治療法の可能性を示す結果である。
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