研究実績の概要 |
副腎白質ジストロフィー(Adrenoleukodystrophy: ALD)は、ABCD1を原因遺伝子とするX連鎖遺伝性の神経変性疾患である。中枢神経の炎症性脱髄を来し、時に副腎不全を認める。様々な臨床病型を認めるが、遺伝子表現型連関は明らかでない。予後不良である大脳型に対しては早期の造血幹細胞移植が症状進行停止に有効であり、大脳型を生じやすい背景因子を同定できれば臨床上有用である。 全身性Abcd1ノックアウトマウス(ヘミ接合性)と、野生型マウスでは生存率が異なることを示すことができた。 さらに、ABCD1全身性ノックアウトマウスと、PEX5遺伝子をCre-loxP systemを用いてオリゴデンドロサイトにおいてノックアウトしたPEX5 コンディショナルノックアウトマウス (ヘテロ接合性:PEX5flox/WT*CNP-Cre/WT)を掛け合わせたマウス (PEX5flox/flox*CNP-Cre/WT*ABCD1-/Y)の作成を行い、PEX5 コンディショナルノックアウトマウスと比較して、表現型に違いがないかを検討している。具体的には、表現型の観察及び行動機能解析として、四肢の筋力低下、不随意運動、運動失調、形態・体重変化を観察する。運動失調に関して、rota-rod testを施行している。 また、各マウスにおいて血漿スフィンゴミエリン中の極長鎖脂肪酸の上昇の確認を行った。 また、脳の病理組織を用いて、脱髄や、T cell, B cell, マクロファージなどの炎症細胞浸潤を観察を行っている。 さらに、脳組織を用いた極長鎖脂肪酸を含む脂質解析を行っている。今後、病理組織解析で認められた所見を基に、タンパク、RNAを用いた解析の準備を行っている。
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