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2019 年度 実施状況報告書

多能性幹細胞とヒト凍結脳のタウ蛋白における網羅的リン酸化比較解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K17002
研究機関三重大学

研究代表者

森本 悟  三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (00816952)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードKii ALS/PDC / tau / phosphorylation / mass spectrometry / pluripotent stem cells
研究実績の概要

アルツハイマー病、Kii ALS/PDC、およびFTDP-17といったタウオパチーでは、側頭葉内側面を中心としたリン酸化タウ蛋白の蓄積を認めるが、タウ蛋白のリン酸化の違いと疾患特異性の関係は不明である。よって、Kii ALS/PDCに特異的なタウ蛋白のリン酸化状態を調べるために、健常者・患者凍結脳からタウ蛋白を精製し、質量分析法によってリン酸化レベルやリン酸化部位の網羅的解析を行うことを目的とする。特にKii ALS/PDCにおけるタウ蛋白のリン酸化解析は世界でも報告が無いため、Kii ALS/PDCについて重点的に解析を行う。

初年度は、ヒト凍結脳組織からmass spectrometry(MS)に使用するためのタウ蛋白の精製手法を確立した。具体的には、ヒト凍結脳組織(前頭葉あるいは側頭葉皮質)から超遠心法およびグアニジン塩酸含有緩衝液等を利用し、可溶性画分および不溶性画分蛋白を抽出。その後、カラムアフィニティークロマトグラフィーの原理を用いた免疫沈降の系において、複数の抗ヒトタウ抗体から最適な抗体選定を行い、健常者、アルツハイマー病患者、およびKii ALS/PDC患者からタウ蛋白を特異的に抽出することに成功した。

次年度は、初年度に作製した免疫沈降産物に対して、UltrafleXtreme MALDITOF/TOF-MSを用いてMSを実施し、85箇所のセリン・スレオニン・チロシンのアミノ酸部位のリン酸化状態を、個々のサンプルで比較検討し、健常人に比べKii ALS/PDCでリン酸化の亢進が起きているエピトープを決定していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度までに、ヒト脳サンプル(健常者 3例、アルツハイマー病 3例、およびKii ALS/PDC 21例)からのタンパク抽出を順調に完了し、一部のサンプルを用いてタウ特異的抗体を用いた免疫沈降法によるタウ特異的タンパク抽出に成功した。このことから、概ね実験計画は順調に進展していると考えている。しかしながら、本邦におけるCOVID-19の蔓延状況により、年度末および年初において実験の遂行が困難な状況に陥りつつある(出勤自粛、在宅勤務指示により、生化学的実験が困難)。COVID-19の遷延状況によっては、研究計画に大幅な遅れを来す可能性も危惧される。

今後の研究の推進方策

次年度の研究推進方策については、健常者(タウ可溶性画分)およびアルツハイマー病患者(タウ可溶性および不溶性画分)脳由来タウ蛋白に対して、リン酸化MS解析を実施し、安定した解析系の確立後に、Kii ALS/PDC患者(タウ可溶性および不溶性画分)脳由来タウ蛋白に対して、リン酸化MS解析を実施する。その後、Kii ALS/PDC患者iPS細胞由来ニューロンについても同様の検討を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、サンプル調整を行うための技術開発とサンプル調整実施に留まり、質量分析は未実施であったため、次年度使用額が発生した。次年度は、質量分析を主体で実施していくため、質量分析実施に関わる消耗品等に対して、今年度分および次年度分の助成金を合算することで、できる限り多くの解析を実施していく計画である。

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公開日: 2021-01-27  

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