研究課題/領域番号 |
19K17014
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
國井 美紗子 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80725200)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CACNA1G variants / patch-clamp / RNA-Seq |
研究実績の概要 |
我々は小児てんかん・精神発達障害患者で同定された3種類のCACNA1Gのde novo変異に対し,培養細胞を用いた電気生理学的検討を継続して行ってきた.Ala961ThrとMet1531Valは他の研究者により既に報告されているが,今回我々はその2つの変異に加え,病的変異の可能性のあるIle1273Pheの検討を加えて解析をした. パッチクランプによるvoltage-clamp 及び current-clamp法を用いた解析は終了している.3種類の変異のうち,報告のある2種類の変異においては,有意な挙動の差が認められ,既報告と矛盾しない結果であった.更に我々は,まだこれまでの報告では検討されたことのない,oscillationという現象についての実験も施行した.膜電位を周期的に変化させた際の最も共振する周波数を解析したところ,既知の2種類の変異において,oscillationでも差を認めた.これまでに報告のないIle1273Phe変異においては,これらの解析にて有意な差を認めなかった.Ile1273Phe変異を持つ患者は既知の変異をもつ患者にくらべ臨床症状が軽いことを反映する結果と考えた.以上の検討については現在論文投稿中であり,リバイスの段階である. 成人の常染色体優性脊髄小脳変性症をきたすR1715H変異を導入したKIマウスを用いたRNA-Seqは計画的にデータ収集を行っており,pathway解析をすすめている. カルシウムイメージングについては,patch-clampと同様に培養細胞に変異Caチャネルを発現させて行っている.しかし現時点では変異と野生型の間で有意な差を検出できていない.今後条件検討などを行い,更にデータを解析する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電気生理学的検討についての論文はリバイス対応中である.RNA-Seqは脊髄小脳変性症をきたすR1715H変異を導入したKIマウスと,野生型にて検討を行っている.今後はpathwayの機能について検証していく.
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今後の研究の推進方策 |
現在投稿中である電気生理学的検討についての論文のリバイス対応を行う.カルシウムイメージングについてさらに条件検討を行い,変異型及び野生型の挙動,細胞死に差が見られるかを検証する.RNA-Seqについてはpathway解析をさらに深く掘り下げて機能について考察する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き細胞培養,Caイメージング,RNA-Seqの実験をすすめる予定であるため試薬が必要である.また.次年度も研究成果発表のための旅費,論文投稿に関わる費用などが必要となる.以上より次年度使用額が生じる.
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