本年度はCOVID-19感染流行の影響もあり、被検者のリクルートや経過観察目的の再評価が困難であったため、研究が遂行できませんでした。引き続き大学病院と連携をとりながら、予定していた研究を継続します。初期評価としてすでに拡散テンソル画像や3D-T1画像を健常者、レム睡眠行動異常患者ともに撮影しておりますがデータの解析ができていないため、TractographyやVBMの解析を再開する予定です。構造画像の解析結果と、軽度運動機能障害、安静時機能的MRI画像の解析結果、ドパミントランスポーターイメージングの解析結果との関連性について検討します。こうした解析をもとに、指タッピング運動で定義した軽度運動機能障害の背景には脳のどのような構造・機能異常があるかどうかを評価します。書字評価も実施しておりますが解析未実施のため、現在収集しているパーキンソン病患者のデータも活用し、書字にも軽度運動機能障害が反映されていないかどうか解析を進めます。また勤務施設ではレム睡眠行動異常症の患者がいないため、レム睡眠行動異常症以外の神経疾患患者でも指タッピングのデータを収集し、他の神経疾患における軽度運動機能障害の意義も見出します。研究の目的が変性疾患の早期診断であるため、病院で実施される検診と組み合わせ、自覚症状のない潜在疾患の検出方法も模索します。早期診断にとどまらず、手指の運動機能評価が神経疾患の予後予測や治療効果判定にも応用できないかどうか検討します。
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