研究課題
本提案では、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と呼ばれる、頭に微弱な電流を通すことにより、脳神経活動を変化させる方法を用いて発達障害の代表疾患であるADHD(注意欠如多動症)の脳病変を改善させる方法を開発することが目的である。そのために、先行研究において、ADHDの治療薬剤のターゲットとなる脳の局在部位を薬効応答から同定した。しかし、近年、DXM-5診断基準において、ADHDの併存症として認められたASD(自閉スペクトラム症・合併率は10-50%と報告されている)の病態の有無によって薬物治療反応性が異なることが2019年から2020年にかけての本提案者の研究成果から明らかとなった。具体的には、現在はADHDのASD併存、非併存の郡を分けて薬物応答の検証した結果、ADHDの代表的治療薬である塩酸メチルフェニデートに関する薬物応答について、各群が持つ特異的な変化を明らかにした。本研究成果は、世界で初めての報告であり、プレスリリースをしたSutoko S, Monden Y, et al., Front Hum Neurosci. 2019 PMID: 30800062)。これらの成果を踏まえ、本年度から、ASD併存、非併存のADHDを対象に、それぞれが持つ異なる脳病変をターゲットとして、当初から目的としている、tDCS刺激条件の最適化を可能とする『ニューロフィードバックtDCS刺激法』を開発する。
2: おおむね順調に進展している
ADHD治療薬である塩酸メチルフェニデート内服前後では、ASDの併存と非併存で逆の変化をきたすことを世界で初めて明らかにしたSutoko S, Monden Y, et al., Front Hum Neurosci. 2019 PMID: 30800062。この成果から、ADHDにASDが非依存している場合とそうでない場合における、異なるtDCS介入方法について明らかとなった。
明らかとなったADHD(ASD併存、非併存群)を対象にtDCS介入を進める予定である。
光トポグラフィー関連物品には人件費は発生しなかったため、次年度使用額が使用時なかった。統計解析用PC、HDの購入に補填する予定である。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
Frontiers in Human Neuroscience
巻: 14 ページ: 10-15
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http://ped-brain-lab.xii.jp/wp/