当初は、ADHDの中核症状となる脳病変に磁気刺激を当て症状を改善させるとするプログラムであったが、ADHDの多様な脳病変が明らかとなり、想定される限定された部位に対する磁気刺激は効果に乏しいと判断し、本研究では脳病変の同定をすすめた。ADHD治療薬の薬効反応を観察するためにグアンファシン塩酸塩内服前後の脳変化を検証し報告した。本検証は二重盲検比較試験を実施した。結果は、従来提唱されている前頭前野の病変以外に頭頂の病変にたいして本薬剤が特異的に有効性を発揮することを世界で初めて報告した。さらに、そのデータを急性期の参照データと位置づけ、症状が改善して薬剤中止が可能であった症例の脳病変の改善の有無を検証した。これまでの研究では薬剤中止の判断は患者への問診で得られる情報や心理評価のみであったが、今回報告した結果から脳機能変化に基づく薬物中止時期の判断が可能となると推測された(2023年日本ADHD学会優秀口演)。今後は同定した病変に対する磁気刺激介入研究や、侵襲をおさえたニューロフィードバックを用いた治療をすすめてゆく。
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