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2019 年度 実施状況報告書

特発性小脳失調症の臨床像と病態の解明に向けた抗神経抗体の検索と対応抗原の同定

研究課題

研究課題/領域番号 19K17029
研究機関岐阜大学

研究代表者

吉倉 延亮  岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80585654)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード特発生小脳失調症 / 自己免疫生小脳生運動失調症 / 多系統萎縮症 / 抗神経抗体 / 抗小脳抗体
研究実績の概要

2018年に本邦から,①孤発性,②30歳以上の発症で緩徐な進行,③画像上の小脳萎縮,の3つを必須項目とする,特発性小脳失調症(idiopathic cerebellar ataxia,IDCA)の診断基準が提唱された.申請者らは,この必須項目を満たす患者の病態は多様で,その中には治療可能な自己免疫学的な背景をもつIDCA患者が存在すると考え,本研究を立案し遂行している.
IDCA患者について,ラット小脳切片を用いた,免疫組織染色による抗小脳抗体の検出を行った.抗小脳抗体陽性例については,染色パターンによって,細胞内が主に染まる細胞内抗原パターンと,細胞膜表面が主に染色される細胞膜表面パターンに分類し,臨床的特徴を検討した.さらに,抗小脳抗体陽性例では,既知の自己抗体の検索を合わせて行なった.
結果としては,現在までに,自施設および他施設を合わせ43症例(女性25例),平均年齢59±13歳(mean ± SD)のIDCA患者を同定した.免疫組織染色の結果は,抗体陰性例27症例,細胞内抗原パターン6例,細胞膜表面パターン10例となった.3群間で,発症時年齢,性差,診断までの期間,初発症状,診断時の小脳症候および小脳外症候,合併症,modified Rankin scaleで示される重症度,頭部MRI所見などの臨床的特徴について検討した.その結果,抗体陰性例は眼振の出現頻度が多い,細胞膜表面パターンでは,女性例が多く,頭部MRIでの小脳萎縮の頻度が低い,という結果であった.細胞内抗原パターンについての特徴は見出されなかった.抗小脳抗体陽性例における既知の抗小脳抗体陽性例は存在しなかった.
今後さらに症例数を増やして検討し,臨床的な特徴を明らかにしていく.新規の自己抗体が検出されており,抗原の同定と特異性の検討を行う必要がある.
一部の結果については,すでに邦文誌に二報投稿し,今後英文誌に投稿する予定で準備中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

免疫組織染色による血清中の抗小脳抗体の検出方法はすでに確立できた.抗体が陽性となる症例の臨床的特徴も徐々に見出されてきており,順調に進んでいると思われる.今後さらに症例数を増やして検討を積み重ねていくとともに,抗小脳抗体陽性例については抗原の同定を進めていく.

今後の研究の推進方策

今年度中に目標の100症例のIDCA患者の血清を収集し,免疫組織染色を施行して,抗小脳抗体の検出を行っていく.抗体陽性例については免疫沈降法により,具体的な認識抗原について同定していく.これは今年度中に行う.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 亜急性小脳性運動失調症における免疫病態のスクリーニング方法の確立と有用性の検証2019

    • 著者名/発表者名
      吉倉延亮,木村暁夫,竹腰顕,下畑享良
    • 学会等名
      日本神経学会
  • [学会発表] 特発性小脳失調症の患者血清中に,高頻度に抗神経細胞膜表面抗原抗体が出現する2019

    • 著者名/発表者名
      吉倉延亮、木村暁夫、横井紀彦、深田優子、深田正紀、下畑享良
    • 学会等名
      日本神経免疫学会

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公開日: 2021-01-27  

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