研究実績の概要 |
【対象・方法】IDCA 47例(probable 5例,possible 42例)を対象とした.多系統萎縮症(MSA-C) 20例(Gilman分類でprobable 17例,possible 3例),遺伝性失調症 12例(SCA2 2例,MJD/SCA3 4例,SCA6 2例,SCA31 3例,DRPRA 2例),健常者 17例を対照とした.これらの血清を用いて,ラット小脳未固定凍結切片を用いた免疫組織染色により,抗小脳抗体を検出した.また,IDCAの全例に対して,cell-based assayにより既知の膜表面抗原を認識する抗体を検索した.免疫組織染色で陽性を示した症例に対しては,全身性自己免疫疾患の自己抗体を検索した.免疫組織染色における陽性率を各群で比較し,さらに抗小脳抗体陽性IDCAの臨床的特徴を明らかにした. 【結果】①:IDCAにおける抗小脳抗体陽性率は,他群に比較して有意に高値であった.具体的には,IDCA,MSA-C,遺伝性失調症,健常者における免疫組織染色での陽性率は,16/47(34%),2/20(10%),0/13(0%),1/18(6%)であった(vs. MSA-C, p = 0.037; vs. 遺伝性失調症, p = 0.010; vs. 健常者, p = 0.016).②:抗小脳抗体陽性が示されたIDCA 16例は,いずれも既知の抗小脳抗体は陰性であった.③:抗小脳抗体陽性IDCAは,非対称性の小脳の血流低下をきたし,小脳外症候に乏しかった.また,脳血流シンチフラフィーで非対称性の血流低下をきたす患者は,抗小脳抗体陽性IDCAで10例中5例(50%),陰性例で24例中3例(13%)であった(p = 0.031).④:抗小脳抗体陽性IDCAは,認識抗原の分布から分類可能であった.
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