研究実績の概要 |
パーキンソン病患者において、高次機能障害は経年的に出現頻度が高くなる。診断時の、高次機能検査や脳血流シンチグラフィーにて予想を行うことは困難である。一方、広く普及し非侵襲的な脳MRI画像にて、その出現を高い精度で予測することは患者に大きな利益となる。診断に関しては、いくつかのあらたな方法(定量的磁化率マッピング(QSM),Diffusional Kurtosis imaging(DKI),拡散強調画像(DWI),磁化率強調画像(SWI), 神経メラニン画像(NMI))が最近開発されてきたが、予後予測という研究報告はない。今回、予後予測のためのターゲット部位として、視床枕に注目していることが本研究の特色である。われわれは既にこの所見に関する基礎的ならびに臨床的研究を行ってきた。また、予備的な検討で脳深部刺激療法症例にて、視床枕と高次機能予後との関連を示唆する結果を得ている。 本研究では、画像と運動症状、高次機能障害などの関連を検討することで、MRI画像も予後予測のツールとして用いることを可能とすることを目的とする。このように、MRIをパーキンソン病の高次機能、幻覚出現の予後予測に用いることは、非常に画期的で、本研究における独創的な点である。関係している論文を2021年度に2報をpublish(K. Matsuura,et al.,Parkinsonism Relat. Disord. 87 (2021) 75-81.Y. Nishiguchi, K. Matsuura,et al, Heliyon. 8 (2022) e08900.)し、現在もう1報投稿直前である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、患者の組み込みは終了し、結果のアウトプットを確認。おおむね予定通りの経過、結果を得ており、現在最終的なまとめ作業を開始している。また、研究に付随するいくつかの知見を得ており、それらについてはすでに論文化が終了している(K. Matsuura,et al.,Parkinsonism Relat. Disord. 87 (2021) 75-81.Y. Nishiguchi, K. Matsuura,et al, Heliyon. 8 (2022) e08900.)。
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