パーキンソン病(PD)の徴候として有名である仮面様顔貌は,これまで“facial bradykinesia”という側面から単純な運動障害と位置付けられ,近年注目されて いるPDの認知機能障害と仮面様顔貌との関連については検討されていなかった.そこで我々は最新のmotion capture技術を応用した表情解析技術によりPD患者の 表情変化を定量化し,各種認知・情動機能検査の結果と比較することで,仮面様顔貌が純粋な運動機能障害ではなく,認知・情動障害を反映し,さらに将来の認 知機能低下および認知症発症を予測する新たな疾患バイオマーカーのひとつであることを検証するための前向きコホート研究を行っている. 昨年度に続き本年度も,患者および健常者を対象としたベースラインのデータの収集を行い,voxel-based morphometryや,拡散テンソル画像(DTI)・安静時fMRIを用いた神経ネットワーク解析の前処理を行い,さらにこれまでに取得したデータを用いたグループ解析を開始している. 現時点では,経時データ(フォローアップデータ)を取得できた症例数がまだ不十分であるため有意な結果が得られていないが,今後もデータを継続的に取得し再解析を行い,学会・論文報告の準備を行う予定である.
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