研究課題/領域番号 |
19K17045
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
東 覚 獨協医科大学, 医学部, 助教 (20813702)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アルツハイマー / アミロイドβ / BACE1 |
研究実績の概要 |
本研究では、小胞輸送関連分子であるγ-Taxilinによるクラスリン非依存性エンドサイトーシス(CIE)制御を介したBACE1の細胞内輸送機構とAβ産生機構の解明を目的としている。 当該年度では、γ-Taxilin によるBACE1の細胞内輸送機構の解明を目的とした。CIE分子は特徴的な細長いチューブ状構造であるTRE (tubular recycling endosome)への局在が観察される。そこで、BACE1のTREへの局在を調べたが、既報の手法では明確なチューブ構造を観察できなかった。その理由として、BACE1は主に後期Golgi/TGNに局在し、一部が細胞膜表面とエンドソーム間を循環しているため、TREへの局在が少なく観察が困難であると考えられた。実験手法を再検討し、新規に生細胞イメージングシステムの構築を行い観察した結果、BACE1のチューブ構造への局在が観察された。観察されたチューブ構造がTREであるのかを次年度に検証する予定である。 上記と並行してγ-TaxilinとTRE形成の関係性について、既知のCIE分子を用いてTRE形成およびCIE recyclingを測定した。興味深いことに、CIE分子のうち、Early endosome (EE)からTREを介して膜にrecyclingされるCIE分子はγ-Taxilin KD細胞においてTRE形成およびCIE recyclingが増加していた。一方でEEからendocytic recycling compartment(ERC),ERCからTREを経て膜にrecyclingされるCIE分子ではγ-Taxilin KD細胞においてTRE形成、CIE recyclingともに変化が見られなかった。これらの結果から、BACE1はどちらのrecycling経路をたどるCIE分子であるかを追加で検証する必要性が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
既報の実験手法ではBACE1のチューブ構造への局在の観察が困難であり、実験系の見直しが必要となったため計画に遅れが生じた。しかしながら、新たに実験系を構築しBACE1のチューブ構造への局在を観察することが年度内に達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、観察されたBACE1が局在しているチューブ構造がTREであるのかを検証する。また新たに検証が必要となった項目として、BACE1がγ-Taxilinによって制御されるCIE分子であるのかについて追加で検証を行う。さらに、BACE1の細胞膜上へのrecyclingがγ-Taxilinによって制御されているのかを検証する。 当初予定していたγ-Taxilin KOマウスを用いた個体レベルでの解析は上記の結果によって実験計画が大きく左右されるため、細胞レベルでのγ-TaxilinによるCIE制御を介したBACE1の細胞内輸送機構とAβ産生機構を明らかにすることに計画を変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物個体レベルでの解析のためにγ-Taxilin KOマウスを導入する予定であったが、当該年度において細胞レベルでの解析に追加の検証の必要性が生じ、その結果によっては動物実験計画が大きく左右される可能性があり、当該年度の導入を見送ったため。従って、次年度において細胞レベルでの解析に必要な抗体、ELISA kit等の試薬類に使用する。
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