研究実績の概要 |
今年度は認知症の視線解析に関する研究成果を英文の論文としてまとめた。これまでにアルツハイマー病の患者と健常高齢者における視線解析のデータを蓄積してきており、両者のデータを比較した結果、アルツハイマー病患者の視線の挙動にはある特徴があることが分かった。すなわち、画像を見る際には重要な場所への注目をあまりせず、物を探索する課題をさせると目標物に辿り着くまで多くの視線の動きが必要となる。さらに瞳孔径を比較すると、健常者では視覚探索課題の実施中に瞳孔径が拡大するが、アルツハイマー病の患者ではその拡大が目立たない。これらの特徴を用いると健常者とアルツハイマー病の患者を鑑別することが可能であるということを示し、論文を執筆して投稿した結果、今年度内に採択され公表された(Tokushige SI, Matsumoto H, Matsuda SI, Inomata-Terada S, Kotsuki N, Hamada M, Tsuji S, Ugawa Y, Terao Y. Early detection of cognitive decline in Alzheimer's disease using eye tracking. Front Aging Neurosci. 2023;15:1123456)。 研究期間全体を総括すると、眼球運動・視線の異常が認知症の診断に役立つことを示すことができ、成果を論文発表することができた点は有意義であった。
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