STLV-1感染初期のウイルス動態・免疫応答解析によるHAM病態の理解

2021 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 19K17049
• 研究機関: 聖マリアンナ医科大学
• 研究代表者: 山内 淳司 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (80760347)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: HAM / HTLV-1 / 免疫抑制薬 / 腎移植

研究実績の概要

HTLV-1関連脊髄症（HAM）は、HTLV-1感染者の約0.3%のみに発症する希少神経難病である。多くの感染者は生涯無症候であることや、動物モデルがないことから、感染初期のウイルス免疫学的動態や、HAMの発症メカニズムは不明な点が多い。我々はHTLV-1陽性ドナーからの腎移植によって新規に感染したレシピエントは移植後早期に極めて高率にHAMを発症することを見出し、腎移植における特殊な環境が感染初期のHTLV-1制御を困難としHAMの発症を促進している可能性に着目し、本研究を開始した。
本研究は、カニクイザルHTLV-1感染モデルを用いて腎移植におけるHTLV-1新規感染という特殊環境がウイルス動態や免疫応答に与える影響について解析し、HAMの発症機構の解明につながる情報を得ることを目的としている。腎移植の特徴は、免疫抑制薬の投与と、アロ抗原（臓器）の侵入である。まず、HTLV-1新規感染に対する免疫抑制薬の影響に関する解析を進め、非常に興味深い結果を得た。新型コロナウイルス感染症の拡大などのため予定が遅れたが、現在、腎移植（＋免疫抑制薬）刺激の影響に関する解析を実施している。

研究成果

• [雑誌論文] Health-related quality of life evaluation using the Short Form-36 in patients with human T-cell leukemia virus type 1-associated myelopathy. (2022)
  • 著者名/発表者名: Kimura M, Yamauchi J, Sato T, Yagishita N, Araya N, Aratani S, Tanabe K, Horibe E, Watanabe T, Coler-Reilly A, Nagasaka M, Akasu Y, Kaburagi K, Kikuchi T, Shibata S, Matsumoto H, Koseki A, Inoue S, Takata A, Yamano Y.
  • 雑誌名: Front Med 巻: in press ページ: in press
  • 査読あり
• [雑誌論文] Efficacy of corticosteroid therapy for HTLV-1-associated myelopathy: A randomized controlled trial (HAMLET-P). (2022)
  • 著者名/発表者名: Yamauchi J, Tanabe K, Sato T, Nakagawa M, Matsuura E, Tsuboi Y, Tamaki K, Sakima H, Ishihara S, Ohta Y, Matsumoto N, Kono K, Yagishita N, Araya N, Takahashi K, Kunitomo Y, Nagasaka M, Coler-Reilly ALG, Hasegawa Y, Araujo A, Jacobson S, Grassi MFR, Galaao-Castro B, Bland M, Taylor GP, Martin F, Yamano Y.
  • 雑誌名: Viruses 巻: 14(1) ページ: 136
  • DOI: 10.3390/v14010136.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clinical course of neurogenic bladder dysfunction in human T-cell leukemia virus type-1-associated myelopathy/tropical spastic paraparesis: A nationwide registry study in Japan. (2021)
  • 著者名/発表者名: Iijima N, Yamauchi J, Yagishita N, Araya N, Aratani S, Tanabe K, Sato T, Takata A, Yamano Y.
  • 雑誌名: Orphanet J Rare Dis 巻: 16(1) ページ: 355
  • DOI: 10.1186/s13023-021-01990-3.
  • 査読あり
• [雑誌論文] An update on human T-cell leukemia virus type I (HTLV-1)-associated myelopathy/tropical spastic paraparesis (HAM/TSP) focusing on clinical and laboratory biomarkers. (2021)
  • 著者名/発表者名: Yamauchi J, Araya N, Yagishita N, Sato T, Yamano Y.
  • 雑誌名: Pharmacol Ther 巻: 218 ページ: 107669
  • DOI: 10.1016/j.pharmthera.2020.107669
  • 査読あり
• [雑誌論文] Soleal vein dilatation in the early-phase of hospitalization is associated with a subsequent development of deep vein thrombosis in patients with acute stroke. (2021)
  • 著者名/発表者名: Soga K, Shimizu T, Hagiwara Y, Ogura H, Akiyama H, Yamauchi J, Sato T, Hanzawa K, Hasegawa Y, Yamano Y.
  • 雑誌名: J Med Ultrason(2001) 巻: 48(1) ページ: 97-104
  • DOI: 10.1007/s10396-020-01075-x.
  • 査読あり
• [雑誌論文] HTLV-1陽性臓器移植のエビデンス・プラクティスギャップに関する全国アンケート調査. (2021)
  • 著者名/発表者名: 山内淳司, 新谷奈津美, 八木下尚子, 佐藤知雄, 湯沢賢治, 山野嘉久.
  • 雑誌名: 移植 巻: 56(4) ページ: 377-387
• [雑誌論文] 活動性担癌患者における脳梗塞発症後の死亡関連因子に関する検討. (2021)
  • 著者名/発表者名: 今井健, 清水高弘, 土橋瑶子, 赤須友香利, 秋山久尚, 山内淳司, 長谷川泰弘, 山野嘉久.
  • 雑誌名: 脳卒中 巻: in press ページ: in press
• [学会発表] HTLV-1陽性臓器移植の診療に関する全国調査. (2022)
  • 著者名/発表者名: 山内淳司、新谷奈津美、八木下尚子、佐藤知雄、湯沢賢治、山野嘉久.
  • 学会等名: 第55回日本臨床腎移植学会
• [学会発表] HTLV-1陽性の臓器移植に関する全国アンケート調査. (2021)
  • 著者名/発表者名: 山内淳司、新谷奈津美、八木下尚子、佐藤知雄、湯沢賢治、山野嘉久.
  • 学会等名: 第7回日本HTLV-1学会学術集会
• [学会発表] 全血を用いた改変HTLV-1プロウイルス量定量法に関する検討. (2021)
  • 著者名/発表者名: 佐藤知雄、八木下尚子、新谷奈津美、荒谷聡子、山内淳司、高橋克典、國友康夫、長谷川由美子、東久世裕太、宮地恵子、佐藤賢文、直亨則、斎藤益満、山野嘉久.
  • 学会等名: 第7回日本HTLV-1学会学術集会
• [学会発表] HTLV-1関連脊髄症（HAM）における神経障害機構の解析. (2021)
  • 著者名/発表者名: 新谷奈津美、荒谷聡子、八木下尚子、山内淳司、佐藤知雄、山野嘉久.
  • 学会等名: 第7回日本HTLV-1学会学術集会
• [学会発表] リアルワールドデータにより示されたHAMの排尿障害に対するミラベグロンの有用性. (2021)
  • 著者名/発表者名: 飯島直樹, 山内淳司, 髙梨世子, 太刀川慶史, 八木下尚子, 新谷奈津美, 荒谷聡子, 田辺健一郎, 佐藤知雄, 高田礼子, 山野嘉久.
  • 学会等名: 第7回日本HTLV-1学会学術集会
• [学会発表] HTLV-1による神経障害機構. (2021)
  • 著者名/発表者名: 新谷奈津美, 荒谷聡子, 八木下尚子, 山内淳司, 佐藤知雄, 山野嘉久.
  • 学会等名: 第25回日本神経感染症学会総会・学術大会
• [学会発表] 活動性癌合併脳梗塞患者における死亡リスク評価候補マーカーとしてのDVT検査の有用性. (2021)
  • 著者名/発表者名: 赤須友香利, 今井健, 清水高広, 土橋瑶子, 萩原悠太, 原大祐, 山内淳司, 秋山久尚, 長谷川泰弘, 山野嘉久.
  • 学会等名: 第40回日本脳神経超音波学会総会
• [学会発表] HTLV-1関連脊髄症（HAM)の神経障害機構. (2021)
  • 著者名/発表者名: 新谷奈津美, 荒谷聡子, 八木下尚子, 山内淳司, 佐藤知雄, 山野嘉久.
  • 学会等名: 第62回日本神経学会学術大会
• [学会発表] リアルワールドデータにより示されたHAMの排尿障害に対するミラベグロンの有用性. (2021)
  • 著者名/発表者名: 飯島直樹, 山内淳司, 八木下尚子, 新谷奈津美, 荒谷聡子, 田辺健一郎, 佐藤知雄, 高田礼子, 山野嘉久.
  • 学会等名: 第62回日本神経学会学術大会
• [備考] 聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター
  • URL: https://nanchiken.jp/
• [備考] 聖マリアンナ医科大学 内科学脳神経内科
  • URL: https://www.marianna-neurology.jp/