研究課題/領域番号 |
19K17051
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
池之内 初 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, レジデント (80836552)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 後天性von willebrand病 |
研究実績の概要 |
vWFは血管内皮細胞より産生される血小板凝集に関連するタンパク質であり、血管損傷部位に露出するコラーゲンと血小板上のGlycoprotein1bとを連結し、損傷部位への粘着に寄与している。vWFは高分子多量体として一次止血活性を有するが、ADAMTS13による低分子化により一次止血活性が減弱し、易出血性を呈する。vWF多量体は加速血流による高いずり応力で伸展し、ADAMTS13により切断されやすい特徴がある。局所的な加速血流を有する補助人工心臓患者や大動脈弁狭窄症患者における出血合併症の背景にvWFの高分子多量体の欠損が関与することが判明しており、AVWSという概念として提唱されている。維持透析患者では高度な動脈硬化を背景として脳血管障害が起こりやすく、脳出血発症率は1000人あたり3-10人と一般住民より極めて高い。透析患者では血中vWF量も多いことが報告されており、尿毒症物質や短期間の血圧変動、体液量変化による血管内皮細胞障害がvWF産生亢進の一因と考えられる。一般的に脳梗塞発症者では血中vWFが高く、血中vWF高値は脳梗塞における転帰不良とも関連するため、透析患者での脳梗塞発症や転帰不良の背景にvWFが関与する可能性が示唆される。透析患者ではシャントや透析回路によるずり応力が高いことが推定されるが、透析患者におけるvWFマルチマーの動態については分かっていない。今回、透析患者の脳卒中を対象として、vWFマルチマー測定により、易出血性などの病態の関与について調査予定で、昨年度は既報告との比較、当院で試行可能な方法についての検討を行ったが、後述する理由で研究に遅れを生じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
病院ならびに研究所の移転に伴い、移転後数ヶ月は診療体制の確立が必要であった。それにより、試料の保管場所、研究体制について再度検討する必要があったため。また、倫理審査システムの変更、厳格化に伴い、各種倫理申請の方法に変更があった。また、研究者自身が外部研修に従事する必要があり、数ヶ月間病院を不在にしていた時期があった。そのため、研究開始が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
倫理委員会での研究申請、実験開始についての調整と、データ収集を本年度には行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始に遅れが生じており、次年度での研究実施継続に必要のため。
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