研究課題
昨年までに立ち上げた多施設共同研究において、個人レベルデータを用いて、体内微量リチウム濃度と自殺関連行動の関係を検討した。自殺者と非自殺者の体内微量リチウム濃度を比較した。対象者は、2018年3月から2021年6月まで東京都監察医務院で検案または解剖された29人である。インフォームドコンセントは、ウェブサイトのオプトアウト法を通じて得られ、三親等以内の親戚が研究参加を拒否した被験者は除外された。死亡方法や服薬情報は、警察の調査によって決定され、事故死や死後変化が進行した症例は除外された。死後変化の影響が少ない眼房水を採取後速やかに4℃で保管し、順天堂大学で誘導結合プラズマ質量分析を使用してリチウム濃度を測定した。一部の症例では16時間ごとに2回のサンプル収集を行ない、死後変化を検証した。血清中リチウム濃度と眼房水中リチウム濃度は有意に相関していた。16時間おきに採取した検体を比較したところ、眼房水中リチウム濃度は有意な死後変化をみとめなかった。自殺者の方が非自殺者よりも眼房水中リチウム濃度が有意に低いことが示された(平均 0.50μg/ L 対 0.92μg/ L)。死後時間を考慮に入れた解析においても、自殺と眼房水中リチウム濃度の有意な関係が示された。本研究結果を国際学術雑誌(Translational Psychiatry)に発表した。
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Translational Psychiatry
巻: 12 ページ: 466
10.1038/s41398-022-02238-9