日本では、近年は特に若者における自殺率増加が目立ち、その予防は喫緊の課題である。自殺予防効果が実証されている薬は少なく、効果が示されている炭酸リチウムも、副作用等のため過小利用が指摘される状況である。今回、世界で初めて体内の微量なリチウムが自殺と関連することが示されたことは、リチウムの活用に大きな展開をもたらすものである。微量であればリチウムによる副作用等の問題も少ないことが期待できるため、自殺予防としての微量リチウムの活用が展開することが期待される。今後は自殺者で体内リチウム濃度が低いメカニズムの解明が求められるとともに、微量リチウムの自殺予防効果の検証が進むことが期待される。
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