統合失調症群32名、健常対照群45名において、拡散イメージングに優れたMRI機種であるPrismaを用いてMRI撮像を行い、統合失調症におけるカルボニルストレス関連マーカー (終末糖化産物のペントシジンとその代謝過程で低下するピリドキサール) と脳構造画像マーカーとの関連を調べた。脳構造マーカーとしては、軸索の病理を明らかにできるNeurite Orientation Dispersion and Density Imaging (NODDI)、神経炎症の可能性を推定できるFree Water Imagingを用いて、白質の微細構造異常を統合的に評価、検討した。脳構造の評価には、Tract-Based Spatial Statistics (TBSS) というソフトウェアを用いて、全脳白質中心部分の評価をおこなった。その結果、統合失調症群においてカルボニルストレスの亢進が神経細胞密度の低下と関連するという知見が得られた。この研究成果は、Scientific Reports誌に受理された。 また、統合失調症患者53名、健常者83名において、Tim Trioと呼ばれるMRI撮像機で撮像したDTI (Diffusion Tensor Imaging) データを用い、血漿ホモシステイン濃度と白質統合性とよばれる大脳白質の微細構造との関連についてもTBSSを用いて解析したところ、統合失調症患者では血漿のホモシステイン濃度が高いほど白質統合性が低下するという知見が得られた。この研究成は、Schizophrenia誌に受理された。 また、上記研究内容に関して、第119回日本精神神経学会学術総会においてシンポジウム発表を行った。
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