研究課題/領域番号 |
19K17073
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
砂田 尚孝 関西医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30809398)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | レビー小体型認知症 / レビー小体病 / 治療反応性 / 個別化医療 / 抗認知症薬 / 介護負担 |
研究実績の概要 |
本研究は、遺伝子情報を元にし、レビー小体型認知症(DLB)における抗認知症薬の治療反応性や介護負担の軽減を検証し、DLB患者の個別化医療の構築を目的としている。 2020年度の実績は以下の通りである。主として研究環境の整備、研究参加者のリクルート及び実施に当てられた。市の地域包括支援センターで症例発表を行い、当事者の介護負担を聴取し、適切な評価尺度を選定し直した。網羅的ゲノム解析に際して、偶発的所見への対応の倫理的配慮から、遺伝カウンセリングの体制構築を行った。その上で、課題名「認知症及び軽度認知障害個別化治療アルゴリズムの構築を目的とする生物学的反応予測因子の探索・検証試験」で本学総合医療センター倫理審査委員会の承認を2020年7月20日に受けた。研究参加者のリクルートも2020年度内に開始され、DLB患者2名から研究参加に同意を得て、血液試料の採取、臨床経過を評価中である。現在、DLB患者21名を選定し、速やかにリクルートが出来るように体制を整えている。並行して迅速な結果の提供のため、本研究のケースカードを作成し、収集された試料を順次データ化していく様に体制を整えている。学会活動は、第35回日本老年精神医学会、第39回日本認知症学会学術集会、令和2年度第2回認知症サポート医フォローアップ研修に参加及び聴講し、DLBの最新の知見や認知症疾患を取り巻く環境の知識を更新した。論文作成作業は、「南 翔太, 砂田 尚孝ら. 教室症例検討会(シリーズ3) 壮年期に出現した精神病様症状から22q11.2欠失症候群が判明した一例. 最新精神医学. 2020. 25. 2. 117-121」を共同著者として発表した。2021年度は、更なる患者のリクルートを行い、データを集積後、解析を行い有用な結果を得て、学会及び論文発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
網羅的ゲノム解析に際して、偶発的所見への対応の倫理的配慮が変わり、遺伝カウンセリングの必要性が生じ、遺伝カウンセリングの体制構築を行った。その体制構築も含め、倫理審査委員会からの承認を得るまでの過程に想定以上の時間を要してしまった点が研究の進捗状況の遅れにつながっていると考えられる。また、COVID-19の世界的な流行により、臨床評価に際する頻回の来院や来院自体を躊躇する傾向にあり、想定以下の研究参加者になったと考えている。そのほか、同時進行で進んでいる研究業務を複数要し、研究業務やそれに付随する事務作業にかかる時間が当初の想定よりも大きく、想定していたエフォートを本研究に割くことができなかったことも理由としてあげられる。一方、課題名「認知症及び軽度認知障害個別化治療アルゴリズムの構築を目的とする生物学的反応予測因子の探索・検証試験」で2020年7月20日に本学総合医療センター倫理審査委員会の承認を得たため、実際に研究参加の同意を2名から得ることができた。専門外来を立ち上げ、DLB患者21名を選定し、速やかにリクルート及び資料の迅速なデータ化が出来るように体制を整えており、進捗の深刻な遅れは回避できたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、専門外来を中心として、継続して速やかに研究参加者のリクルート及び研究内容の実施を行う予定である。サンプルの測定や解析に研究費を使用することが予想される。2021年の年度末には解析結果等の発表を研究会や学会において行い、聴講者からの意見を伺いたいと考えている。また、スムーズな解析の実施のために、回収できたデータの整理を同時進行で行うことで、素早い成果発表につなげていければと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の世界的な流行により、複数の学術集会がオンラインで行われるようになり、また、学術集会への現地の参加も感染の流行から極力控えたため、次年度使用額が生じた。しかし、有効な助成金の使用を模索し、次年度はデータの入力用の独立したパソコンの購入や、研究参加者の診断精度を向上させるための脳波測定に関する機材を購入予定である。
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