研究課題/領域番号 |
19K17075
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉川 茜 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00816522)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 統合失調症 / NMDA受容体 / チオレドキシンシステム / 思春期 / 糖化ストレス / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
本年度は、統合失調症の有力な病態仮説であるNMDA受容体機能低下仮説に関連して、脳内NMDA受容体機能と関連した内因性抗酸化システムであるチオレドキシンシステムの臨床検体を用いた病期解析に向けて、統合失調症の前駆期が疑われる症例のリクルートを行った。当院小児科からの連携もあり、順調に思春期症例を収集している。患者血漿及び尿検体を用い特にチオレドキシンシステムの破綻に注目し、同システム制御異常を検証する解析準備を進めており、効果的な治療的介入への知見を得ることを目指している。また、同様に抗酸化・抗糖化と関連し、ペントシジンが上昇する統合失調症患者においてCNV解析を行い、IMMP2Lというミトコンドリア内膜に存在する新規抗酸化分子の欠失を複数の症例で見出し、その共通した臨床的特徴として幻覚妄想状態に加え、自閉症スペクトラム傾向を見出し、2021年の第117回日本精神神経学会で報告するとともに、論文投稿を行い現在リバイズを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初チオレドキシンシステムのみに注目をしていたが、新規にCNVを解析したところ、IMMP2Lというミトコンドリア内膜に存在する新規抗酸化分子をコードするIMMP2L遺伝子の欠失を複数の症例で見出し、その共通した臨床的特徴として幻覚妄想状態に加え、自閉症スペクトラム傾向があることが明らかとなったことから、当該新規知見についても学会発表や論文投稿を行ったため、チオレドキシンシステムの臨床解析については患者リクルートに留まっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はチオレドキシンシステムに関連した病期解析を主に行い、前駆期症例を主とした臨床検体収集と解析を継続して行う。可能であれば、治療抵抗性統合失調症についても同様に解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年に第3子を出産し、産休を取得したため次年度使用額が生じた。また、復帰当初は、新型コロナウイルス感染の拡大もあり患者リクルートが大幅に制限されたことも一因と考えている。今後の使用計画として、NMDA受容体機能と関連した抗酸化システムであるチオレドキシンシステムに注目し、特に前駆期に注目した病期解析を行い、早期支援につながる知見の獲得を目指す。
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