研究課題
これまでペントシジン蓄積という特定の代謝経路障害を呈する統合失調症の亜群に着目し、表現型への寄与を説明する遺伝・環境因子を探索してきた。本研究では、Pathogenic CNVを保有する209名の症例を対象にmiRNAsに焦点を当て、ペントシジン蓄積が亢進している統合失調症の病因に関する新しい洞察を得るための解析を行った。また、ペントシジンに限らず網羅的に終末糖化産物に着目することで、重要な統合失調症リスクCNVである1q21.1欠失を有する統合失調症において、GSA/MetSO/AASAという3つの終末糖化産物の上昇を見出した。研究期間全体を通して、ペントシジン高値症例では、CNV領域に含まれるmiRNA数がペントシジン正常値群に比べて約10倍集積していることを明らかにするとともに、同定されたmiRNAsは、その標的としてシナプス神経伝達機能に関与する遺伝子群を制御していることを明らかにした。本研究により、今後、ペントシジン蓄積型の統合失調症症例に対する新規治療アプローチの一つとして、miRNAを標的とした戦略についての新たな知見を得た。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Schizophrenia
巻: 9(14) ページ: 1-7
10.1038/s41537-023-00340-5