研究機関を通じて脳内のモノアミン神経活動の測定を種々の実験条件下で測定した。ドーパミン(DA)神経系において、痛覚刺激時にA13DA神経核の神経活動が急激に上昇することを明らかにした。ノルアドレナリン(NA)神経系において、痛覚刺激時にA5/A7NA神経核及びA6NA神経核の神経活動が急激に上昇することを明らかにした。A13神経核においての痛覚への関連を示す所見はこれまでにほとんど報告がなく本所見は意義がある。A5/A7神経核においても同様にほとんどこれまでに報告がなく本所見は意義がある。セロトニン(5-HT)神経系においては、B95HT神経核-青斑核神経経路及びB95-HT神経核-中脳腹側被蓋野神経経路の痛覚刺激時の神経活動を測定した、いずれの神経回路においても、B9神経細胞体における5-HT神経活動及び神経軸索末端における5-HT神経活動が痛覚刺激時に急激に上昇することを明らかにした。下降性疼痛抑制系においては腹側被蓋野及び青斑核は重要な中継核となっていることから、本所見は下降性疼痛抑制系において新たな神経回路の関連を示唆するものであり意義がある。オレキシン神経系において、自由行動条件下のマウスに急性に嫌悪刺激を与えた際に、オレキシン神経活動の急激な上昇と心拍数が急激に上昇すること、その上昇がほぼ同時に起こることを明らかにした。心拍数は自立神経系指標の代表的なものであり、本所見は中枢神経系と末梢神経系のストレス反応時の連関を明確に示すものであり意義がある。アデノシン2A受容体と統合失調症の関連について、DISC1モデルマウスを使用しての実験は現在進行中であり、今後の論文投稿等の研究発表に向けての準備段階である。
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