研究課題/領域番号 |
19K17101
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久保田 学 京都大学, 医学研究科, 助教 (30760368)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 統合失調症 / phosphodiesterase |
研究実績の概要 |
これまでに、統合失調症患者22名および健常者26名に対してPDE10Aリガンド[18F]MNI659を用いたPET撮像を行なった。個人MRI T1強調画像を用いて線条体・淡蒼球を関心領域に定め、binding potentials (BPND)をPDE10A結合能の指標とし、小脳を参照領域としてPETデータの定量を行った。 線条体に関しては、その機能的下位区分であるlimbic, executive/associative, sensorimotor subdivisionsを解析対象とした先行研究から統合失調症ではexecutive/associative and sensorimotor subdivisionsすなわち線条体の背側領域におけるドーパミン生成能の亢進が報告されており、本研究の解析でも機能的下位区分を用いてドーパミンとの関連性の観点から検討した。 年齢、性別を共変量としたmultiple analysis of covariance (MANCOVA)による解析結果から、統合失調症群ではsensorimotor striatal subdivisionにおいて[18F]MNI659のBPNDが高値を示した。線条体背側領域においてPDE10A結合能が上昇していたことは、先行研究における線条体背側領域のドーパミン生成能亢進とも一致する結果であり、統合失調症の病態生理を反映している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標症例数の画像データ取得を終え、現在解析の緻密化を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
下記の通り統合失調症患者の解析の緻密化を行う。 PDE10A結合能と認知機能との関連性を調べる。 抗精神病薬によるPDE10A結合能への影響について検証するために、若干名の抗精神病薬未服薬の患者に対して撮像および追加解析を行う。 PDE10A結合能と皮質・線条体領域のグルタミン酸との関連性を調べるため、PETとMRSデータを用いて相関解析を行う。 参考データである双極性障害患者の[18F]MNI659 PETの結果とも比較し、疾患特異性について検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、参加学会の一部がweb開催となり、旅費使用が減少した。一方で、研究解析および論文執筆は順調に進んでおり、差額に関しては解析緻密化のために必要な装置や英文校正・論文投稿料等に捻出する予定である。
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