研究課題
京都大学医学部附属病院に通院中の外傷性脳損傷例(局所脳損傷12名、びまん性軸索損傷8名)を対象に、新規に開発された5-(5-(2-(2-(2-18F fluoroethoxy)ethoxy)ethoxy)benzofuran- 2-yl)-N-methylpyridin-2-amine (18F-FPYBF-2)を用い、滋賀県立総合病院付属研究所に設置されたPET装置をもちいて、アミロイドPET画像を撮像した。沈着量の指標(SUVR)は、小脳の沈着量との比を用い、The Automated Anatomical Labeling (AAL) atlasを用いて分割した90の大脳灰白質領域について検討した。結果、びまん性軸索損傷群においてのみ、後頭葉および側頭葉に健常群より有意に高いアミロイドの沈着を認めた。本研究の結果、慢性期の脳外傷例では、アルツハイマー病などの変性疾患とは異なるアミロイドの沈着パターンを示すことが分かった。これまでの解析では、灰白質のみを関心領域として用いてきたが、実際の症例のPET画像では、白質や脳幹に沈着が目立つ症例が複数あり、今後、灰白質のみならず白質についてもアミロイドの沈着量あるいはその沈着パターンについての検討が必要と考えられる。SUVRとして、今回は小脳の沈着量との比を用いたが、外傷性脳損傷では小脳の萎縮が目立つ症例もあることから、沈着量の指標をどうするかについても、さらに検討が必要と考えられる。また、おおむね1年間隔での縦断検査をMRIについては17名、PETについては6名で終了しており、今後、アミロイド沈着量あるいは沈着部位の経時的広がりと脳体積変化の関連を検討する予定としている。
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The Journal of Neuropsychiatry and Clinical Neurosciences
巻: e-collection ページ: e-collection
10.1176/appi.neuropsych.21020046