研究課題/領域番号 |
19K17115
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
富永 敏行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50360037)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 身体症状症 / 身体表現性障害 / 病気不安症 / 認知行動療法 / 集団療法 / 変換症 / 心身症 |
研究実績の概要 |
本研究の遂行するため現在、次の2つの作業を行っている。1点目は、アウトカムの指標の作成である。SSRDの中核群である身体症状症(Somatic Symptom Disorder:以下,SSD)において、DSM-5でのA項目はPHQ-15(Patient Health Questionnaire-15)で評価可能であるが、本邦ではB項目(身体症状に対する認知、感情、行動の問題)の評価尺度がない。そこで、2014年Toussaint A.らによって開発されたSSD-12(The Somatic Symptom Disorder B Criteria Scale)日本語版を作成し、信頼性および妥当性を検証し、問題がなければ、それをアウトカム指標に用いる予定である。京都府立医科大学医学倫理審査委員会の承認を得ている。予定症例数は95名とし、2019年9月からリクルートを開始した。 2点目は、グループ認知行動療法のプログラムの作成である。SSRDについてのグループ認知行動療法の報告はないが、疼痛性障害を主とするSSDにおける先行研究の研究者の方々に依頼し、また慢性疼痛に対するプログラムを参考にすることにより当該プログラムを作成している。研究協力者と協議し、プログラムは全12回、終了後のフォローアップ時調査を含めて15か月間の調査を行うこととした。臨床診療の中で行う研究であることから、非ランダマイズ試験とし、被験者数は48名と設定した。すべての被験者からは文書同意を得る。実施に向けて京都府立医科大学医学倫理審査委員会に申請中である。 SSRDのグループ認知行動療法の有効性の報告はなく、本研究は非ランダマイズ試験であるが、SSRDの治療のエビデンスの蓄積に寄与できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) アウトカムとなる指標の作成について:SSD-12の作成 そのため、申請者は、B項目の診断評価指標を作成したSSD12の日本語訳を作成することを現在作業中である。具体的には、原著者Toussaint A.に連絡し、作成の許可を得ている。2019年SSD-12の日本語版の信頼性および妥当性についての研究について、京都府立医科大学医学倫理審査委員会にて承認を得た。現在、被験者に試験を実施中である。 2) SSRDに対するグループ認知行動療法のプログラム作成 先行研究を報告している研究管理者らに依頼しプログラムを共有した。現在、申請者らは研究協力者とSSRDに対するプログラム内容を作成し、より効果と汎用性が高くなるようデモンストレーションと協議を繰り返し行っている。
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今後の研究の推進方策 |
被験者のリクルートを増やすために、院内他診療科との連携し、2020年4月から専門外来枠を開設したが、今後も他科と継続して連携強化を図る。2020年度中に共同研究医療機関を3医療施設から5医療施設に拡充予定である。COVID19感染症による対応のため、病院患者数の削減が求められており、また、集団での治療を行うことの問題が生じており、今後、本研究計画が順調に進行できるかは不透明な部分も生じてきている。
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次年度使用額が生じた理由 |
グループ認知行動療法の実施にあたり、主に人件費、解析用PC、その解析ソフトを算定していたが、人件費については医学倫理審査委員会の承認待ちの状態であり、次年度持ち越しとなった。解析用PCは購入したが、解析ソフトは認知行動療法で実施した評価尺度の結果によって適するものを選定するため次年度に購入することになった。
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