研究課題/領域番号 |
19K17116
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
北村 聡一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (10714389)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 心的外傷後ストレス障害 / 幼少期逆境体験 / MRI |
研究実績の概要 |
自閉スペクトラム症(ASD)は社会的コミュニケーションや対人的相互反応の困難さ、行動や興味・活動性における柔軟性の欠如などを特徴とする神経発達障害である。ASD患者は幼少期より家庭でのネグレクトや虐待、また学校や社会生活への不適応からいじめや叱責、職場への不適応といった逆境体験を経験しやすい。これらを背景とした心的外傷後ストレス障害(PTSD)様症状の合併は、ASD患者の社会適応を困難とする。これまでASDのPTSD様症状の病態基盤は明らかにされておらず、明確な治療方法が存在しない。本研究の目的は、ASDのPTSD様症状の原因となる脳萎縮や白質障害、脳機能結合障害などについて解析し、その病態基盤を明らかにすることで、生物学的な基盤に基づく疾患の理解と治療の確立を目指すことである。H31年、R2年度にはASD及び定型発達(TD)群の募集を行い、MRI検査および認知機能、PTSD症状様症状や感覚過敏といった精神症状、幼少時体験の重症度を中心とした臨床症状評価を行った。MRI画像データはT1強調画像から得られた脳灰白質データと拡散強調画像より得られた白質データについて解析し、PTSD様症状を中心とした臨床症状データとの関連性について、ASD群とTD群の比較を交えて解析を行い、PTSD様症状と関連する脳領域の同定や白質微小構造障害などについての検討を行った。R3年度にはPTSD症状の侵入思考の重症度と楔前部の灰白質容積の低下の関連性についてAutism Research誌に発表した。また、ASD群における幼少時体験の重症度と前視放線の白質微小構造障害の関連性についてFrontier in Psychiatry誌に発表した。R4年度にはASD群における感覚過敏の重症度と上側頭回の神経密度との関連性についてJournal of Psychiatric research誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
得られたデータを元に解析を行い、ASDにおけるPTSD症状や感覚過敏性に関連する脳領域の同定や、幼少期逆境体験との関連性について論文発表を行うことができた。またASDにおける幼少期逆境体験が白質微小構造に及ぼす影響について論文発表を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、得られたデータを元に解析を行いASDのPTSD症状と関連する脳灰白質微小構造異常の関連性や脳領域間機能結合の関連性について、幼少期逆境体験の関連を含めて検討を行う。
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