ASDは様々な精神症状を合併することが知られる。これら二次性精神症状はASDの日常生活や社会機能に深刻な影響を及ぼすこと、薬物療法など治療への反応性に乏しいことがしばしば認められるため、その病態基盤を解明することは重要であると考える。本研究ではASDにしばしば併発するPTSD症状に関連する脳領域の灰白質構造異常と、それらが幼少期逆境体験の重症度と関連することを明らかにした。今回の知見を基にした薬物療法やニューロモデュレーションのような非薬物療法的なアプローチの検討が期待される。またASDにおける幼少期からの適切な養育が青年期以降の脳構造異常や二次性精神症状を予防する可能性が考えられる。
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