研究実績の概要 |
精神症状発症型の前駆期レビー小体型認知症(DLB-psych)をどのように統合的に整理・理解すべきであるか、国際的視点からいってもいまだ議論は収斂していない現状がある。このことは豪州のグループによる最近のscoping reviewにも述べられている(Gunawardana, J Neurol.271(1):606-617, 2024)。脳生検の実施は非現実的であることから、DLB-psychの同定にあたってはバイオマーカーの活用が重要である。臨床表現型のパターンに着目した画像所見整理は重要であり、今後も知見を蓄積する必要がある。 2023年度は本研究で得られた知見に関連して、老年精神医学および認知症関連の学会シンポジウムへの登壇や学術誌への総説執筆等を行った。 ・学会シンポジウムは日本老年精神医学会(春季・秋季)においてそれぞれレビー小体型認知症前駆状態に関するシンポジウム演題について発表した。また9月には日本精神科診断学会、11月の生物学的精神医学会には老年期精神障害の器質因に関するシンポジウム演題発表をそれぞれ行った。 ・レビー小体病に起因する老年期精神障害との関連性について、特にVery late-onset schizophrenia-like psychosis(VLOSLP)との関連性に特に着目して総説的内容を「精神医学」誌に寄稿した(精神医学,第66巻第4号, 2024年4月発行)。 上記Scoping reviewで触れられているように、DLB-psychの解明にはより長期的視点に基づく縦断フォローが必要であることが明らかになりつつある。
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